- 著者
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東 順一
坂本 正弘
梅澤 俊明
島田 浩章
坂本 正弘
東 順一
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2002
本研究は,タケの有する高シンク機能の統御機構の解明を目指して実施したものである。中心的な解析手法としてイネのマイクロアレイを用いた。これは,タケの遺伝子がイネの遺伝子と相同性が非常に高く,イネのマイクロアレイが利用可能であると考えたからである。タケノコ,全長5m39cmの幼竹の第17節間の上部と下部,成葉からmRNAを抽出,cDNAを合成してマイクロアレイ実験に供した。アレイ解析の結果,解析した約9,000個のクローンのうちタケノコで特異的に発現したクローンが78個,節間下部で特異的に発現したクローンが635個あった。タケノコではDNA複製やタンパク合成に関与する遺伝子が多く,細胞増殖が盛んであることが伺われた。また,ジベレリン関連遺伝子の発現量も多く,伸長成長に関与すると言われてることを分子レベルで明らかにすることができた。節間下部でとくに発現量の多いクローン34個を選抜して解析したところ,ショ糖合成酵素やセルロース合成酵素などの糖代謝関連遺伝子が多かった。また細胞間連絡に関与している遺伝子や,水輸送に関与するアクアポリンなどの遺伝子の発現量も多かったことが注目される。節間下部でとくに発現量が多かったショ糖合成酵素の遺伝子(以下Susと略)に着目して解析をおこなった。Susはの3クローンのクローニングに成功した。うち2つのクローンはSus1グループに属し,1つはSusAグループであることがわかった。RT-PCRによる発現解析ならびにSus1抗体を用いたウェスタン解析の結果から,伸長成長期にあたる幼竹段階ではSus1の発現量が多かったのに対して,組織が成熟するにしたがってSusAクローンの発現量が増加した。このように,組織・時期においてショ糖合成酵素内におけるクローンの役割が交代しており,タケの伸長成長期において重要な役割を担っていることが強く示唆された。