著者
井上 善文 桂 利幸 國場 幸史 藤牧 巳央 梶原 賢太
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.863-870, 2014 (Released:2014-06-23)
参考文献数
13
被引用文献数
6

【目的】脂肪乳剤をTPN(Total Parenteral Nutrition)製剤投与ラインに側管投与する方法における脂肪粒子の安定性について検証する。【対象および方法】TPN製剤(ビタミンおよび微量元素製剤添加)に脂肪乳剤を混合して100mL/ 時で投与する場合と、脂肪乳剤をTPN製剤投与ライン(100mL/時で投与)に側管投与(100mL、50mL、33mL、25mL、20mL、17mL/時で送液)する場合において、輸液の外観観察、平均粒子径、5μmよりも大きい粗大粒子の体積の測定を行った。【結果】混合液では平均脂肪粒子径に変化はなかったが、粗大粒子体積は投与後2時間より増加し、USP(UnitedStates Pharmacopia)基準の「5μmよりも大きい粒子の体積が全脂肪の0.05%未満」を超えた。側管投与では外観にも変化はなく、平均粒子径、粗大粒子の体積にも変化はなく、基準値未満であった。【結論】脂肪乳剤をTPN製剤投与ラインの側管から投与する方法は、平均脂肪粒子径の増大および脂肪粒子の粗大化は認められず、USP基準を満たしており、安全に投与できると考えられた。
著者
伊東 恵里佳 山内 清孝 大林 洋子 山下 純子 梅田 篤 堂本 英樹 梶原 賢太
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.15-24, 2013 (Released:2013-04-01)
参考文献数
17

【目的】術後早期および維持期のTPN 管理におけるアミノ酸の投与意義を検討するため,アミノ酸を強化した高カロリー輸液の栄養効果を評価した.【方法】低栄養手術侵襲ラットモデルを作成し,対照輸液(NPC/N=150)またはアミノ酸強化輸液(NPC/N=110)を投与し,栄養効果を比較検討した.術後早期の評価では3POD まで両輸液をそれぞれ投与し,4-7POD は対照輸液でTPN 管理した.また,0-14POD まで両輸液をそれぞれ投与し,維持期の評価とした.【結果】アミノ酸強化輸液の投与は,術後早期,維持期ともに体重変化量,腓腹筋重量,および窒素出納を有意に改善した.また,術後早期における腓腹筋中筋萎縮遺伝子発現の抑制を認めた.【考察および結論】術後早期またはTPN 維持期におけるアミノ酸強化輸液の投与により術後の異化を抑制し,栄養状態の回復を促進することが示唆された.