著者
棚橋 昌子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.276-284, 1983

乳幼児を育てながら働いている婦人の疲労自覚症状調査を行い, 家事専業主婦と比較検討し, 次のような結果を得た.<BR>1) 婦人の 20 歳代および 30 歳代は, 妊娠, 出産, 育児の時期にあたり, 家事専業, 勤労婦人ともに自覚症状訴え率が高い.<BR>2) 妻の職業別にみると, 家事専業主婦に比較して, 事務職, 看護職のものは, 朝の訴え率はほぼ同率であるが夜の訴え率は高い.<BR>3) 末子の年齢別にみると, いずれの職業においても末子の年齢が 0 歳の場合には, 朝夜ともに訴え率が高い.<BR>4) 収入生活時間別に訴え率をみると, 収入生活時間が 10 時間以上になると, 朝夜ともに訴え率が高くなる.<BR>5) 家事・育児の分担から妻の訴え率をみると, 「買物」「屋外そうじ」「戸じまり」「夜具のあげおろし」などの独立した家事を夫が分担する群では, 妻の訴え率が低くなる傾向がみられる.<BR>6) 家事専業主婦においては, 訴え率が 50 % 以上の項目は「肩がこる」「横になりたい」「目が疲れる」「ねむい」の 4 項目である.事務職においては, 訴え率が 50 % 以上の項目は, 「横になりたい」「目がつかれる」「ねむい」「肩がこる」「全身がだるい」の 5 項目である.看護職においては, 訴え率が 50 % 以上の項目は, 「横になりたい」「肩がこる」「ねむい」「足がだるい」「全身がだるい」「いらいらする」の 7 項目である.<BR>本報では, 1 日の疲労が加重されていくことに着目して検討したが, 今後, 翌日に持ち越される蓄積疲労についても検討する必要がある.