著者
後藤 桂葉 服部 イク 大野 知子 中野 典子 石川 昌子 熊沢 昭子 磯部 しづ子
出版者
The Japanese Society of Nutrition and Dietetics
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.223-237, 1982

1940年以後日本において行われた栄養調査のうち, 高校生, 短大生, 大学生を対象とした栄養調査について経年的にその特徴を明らかにすることを試みた。<br>1) 文献数の最も少ないものは高校生を対象としたもので, 多かったのは女子短大生の調査であった。<br>2) 女子大生および短大生調査では, 家政科系でしかも普通の学生生活を営む学生を対象とした報告が多い。栄養素摂取量は1965年以後VAとCaを除き, バラツキの幅が少なくなる傾向がみられる。しかし, VAは1970年以後, 中部地区の調査において低値の報告がみられるところから, 今後の動向が注目される。<br>3) 女子大生調査の傾向は, 短大生と類似していた。<br>4) 食品群別摂取量の記載は, 1965年以後に多くみられた。このうち, 多くの報告に緑黄色野菜の少ないことを示していた。<br>5) 男子大学生は寮生, 寮食の調査が多くみられた。栄養素量では, たん白質摂取量は1958年以後77g程度に集中していた。<br>6) 各文献の報告者が指摘する問題点としてあげられている栄養素は, いずれのライフステージにおいてもVAとCa, 次いで, VB<sub>1</sub>, VB<sub>2</sub>など微量栄養素であった。
著者
熊沢 昭子 中野 米子 酒井 映子 間瀬 智子 森 圭子 間宮 貴代子 吉田 誠子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.49-58, 1985-03-01

多変量解析法を用いて食形態諸要因をパターン化することにより,栄養・食品バランスの両面から食物摂取状況を検討した結果は次のとおりである. 1.食物摂取状況を総合的に評価するために栄養バランス得点と食品バランス得点を考案し,これらが栄養・食品摂取の指標となり得ることを認めた. 2.食形態は1日の料理数,油料理数,野菜料理数,間食品目数,料理形態,主菜タイプ,朝食の食事タイプ,昼食の食事タイプの8要因に類型化できた. 3.栄養・食品バランスを指標として8食形態要因との関連を数量化理論I類によってみると,良好な食物摂取状況においては男女ともに1日の料理数や野菜料理数が多く,油料理数が中程度であり,これに加えて男子では間食品目数,女子では昼食がスナックタイプといったカテゴリーが出現した.一方,摂取バランスの不良をあらわすカテゴリーにおいては昼食が欠食,主菜となる料理がなく,1日の料理数や油料理数が少ないといった要因の集約がみられた.以上のように,栄養・食品の摂取量にとどまらず食形態から食事構造を明らかにすることは栄養指導を展開する上で有用な方法と考えられる.