- 著者
-
棚﨑 由紀子
深井 喜代子
- 出版者
- 日本看護技術学会
- 雑誌
- 日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.2, pp.124-134, 2016-08-20 (Released:2016-09-30)
- 参考文献数
- 37
本研究の目的は, 冷え症の女性高齢者に対するフットマッサージの冷え症状の緩和ケア技術としての有用性を, 生理的 ・ 主観的指標によって検討することである. 被験者は冷え高齢者25名 (73.4±5.4歳) と対照としての健康高齢者27名 (71.3±4.3歳) とし, 無作為化によらない2群比較を行う準実験研究デザインで行った. フットマッサージは足部から下腿部を20分間, 両手掌で軽擦して行った. その効果を皮膚温, 血流量, 心拍変動等の生理指標とPOMS短縮版, 下肢の温かさの主観的指標により評価した. その結果, 両群ともに皮膚温, 血流量は介入前と比べて有意に上昇し, 心拍数は低下した. また, 右足への介入後に血圧は有意に低下し, HFは上昇, LF/HFは低下した (P<0.05). さらに, 両群の下肢の温かさの自覚も有意に増した (P<0.05). 以上のことから, 冷え高齢者に対するフットマッサージは, 冷え症状を緩和するケア技法として有用であることが示唆された.