著者
尾田 正仁 片山 充哉 森 伸晃
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.96-100, 2022-05-20 (Released:2022-05-20)
参考文献数
11

Patients who bypass medical institutions to obtain drugs to treat human immunodeficiency virus (HIV) infections often take the medications irregularly or self-interrupt their own therapy; this is problematic because it leads to drug resistance. In addition, the presence/absence of drug resistance is a determinant of the success of HIV treatment. Thus, testing for drug resistance is essential for initial drug selection.We present the case of a highly drug-resistant HIV infection in a patient who irregularly took self-prescribed pre-exposure prophylaxis medications (lamivudine/zidovudine/nevirapine). We also showed that dolutegravir and darunavir/ritonavir might be effective as initial therapies in such patients.
著者
森 伸晃 柏倉 佐江子 高橋 正彦
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.48-54, 2016 (Released:2016-04-05)
参考文献数
17
被引用文献数
1

医療関連感染は入院期間の延長や予後の悪化,医療費の増加をもたらすため,各施設の感染対策に関わる専従もしくは専任者に期待される役割は大きい.今回,専従もしくは専任者の存在によるClostridium difficile感染症(CDI)対策を含めた院内感染対策の違いを明らかにするためにアンケート調査を行った.アンケート調査は,「国立病院機構におけるC. difficile関連下痢症の発生状況と発生予防に関する研究」のデータを利用し,2010年8月に全国144の国立病院機構施設のうち感染制御チーム(ICT)がある47施設を対象に行った.調査項目は計22項目で,1)院内感染対策の体制,2)ICTの業務と権限,3)標準予防策,4)環境・設備,5)CDI対策に大別した.専従もしくは専任者がいるのは26施設(55.3%)であった.専従もしくは専任者がいる施設では,ICTのコンサルテーション対応,抗菌薬の届出制,一般病室の清掃頻度が週5日以上,CDIに関する患者および患者家族に対する指導の項目が,いない施設に比べて統計学的に有意に実施されていた.専従もしくは専任者のいる施設では院内感染対策に関して優れた点がみられ,その役割が示された.しかし,専従もしくは専任者がいたとしてもまだ十分にできていない項目があり,これらについては今後の課題である.
著者
細尾 咲子 森 伸晃 松浦 友一 森 直己 山田 恵里奈 平山 美和 藤本 和志 小山田 吉孝
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.12, pp.2556-2562, 2015-12-10 (Released:2016-12-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

40歳,女性.実子に続く感冒様症状を主訴に来院し,急性呼吸不全と血圧低下を伴う重症肺炎の診断で入院となった.血液培養および喀痰培養からA群溶血性レンサ球菌(group A streptococci:GAS)が分離され,劇症型溶血性レンサ球菌感染症(streptococcal toxic shock syndrome:STSS)と診断した.Benzyl penicillin G(PCG)とclindamycin(CLDM)による治療を開始後,薬剤性肺障害などの有害事象が生じたため,ceftriaxone(CTRX)とlevofloxacin(LVFX)に変更し,計24日間の抗菌療法により軽快した.経過中,急性腎不全を合併し,計6回の血液透析を必要とした.GASによる市中肺炎は頻度が低く,時にSTSSを合併し致死率が高い.健常人におけるSTSSの発症機序は明らかでなく,解明が待たれる.