- 著者
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森 博明
北田 敏廣
- 出版者
- 公益社団法人大気環境学会
- 雑誌
- 大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.5, pp.352-375, 1999-09-10
- 被引用文献数
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4
濃尾平野およびその周辺地域において, 大気環境が悪化する場合の気象条件を明らかにするため, 1985・1986年度における大気常時監視測定局73局の日平均値, 日最大値(NO_2,NO_x, O_x, SO_2,SPM)を基に, 年間を通しての高濃度日の出現状況とその時の気象条件について統計解析を行った。その結果, 月別ではO_xを除き, 高濃度日は寒候期(10〜3月)に多く出現したが, 特にNO_xの場合はその傾向が顕著であり, 11〜1月の3か月に高濃度日の7〜8割が集中していた。また, 高濃度日の気象条件を集約すると7類型に分類できたが, このうち, NO_2の場合は曇・雨天弱風型が45%強を占め, これに続いて晴天弱風型と晴天→曇・雨天移行弱風型がそれぞれ20%前後を示したのに対し, NO_xでは晴天弱風型が50%前後, 曇・雨天弱風型が30〜40%を占め, 両者の出現傾向には相違が見られた。また, O_xの高濃度日は, 暖候期の広域海陸風型が約9割(日最大値)を占め, 前駆物質の主要発生源が位置する臨海部を風上として吹く海風との強い関連が認められたが, 日平均値については名古屋南部や尾張西部を中心に, 春季に成層圏オゾンの影響と考えられる晴天北西風型でもしばしば高濃度を示した。このほか, SO_2は晴天弱風型と曇・雨天弱風型で高濃度日の50〜60%を占めたが, 暖候期の海陸風型も20〜30%見られた。また, SPMは全域では曇・雨天弱風型が50〜60%を占めたが, ただし, 岐阜については, 海陸風型の出現率が他地域よりも高いことから, 名古屋地域からの移流汚染の可能性が示唆された。このように, O_xを除く4物質については, 全般に寒候期の晴天弱風型と曇・雨天弱風型において高濃度が多く出現したことから, これらの2つの型について, 高層気象観測結果等を基に, 気流および気温の鉛直構造と濃度の日変化を比較・検討した。その結果, 晴天弱風型では, 概ね21〜23時頃にかけて, 周辺の地形特性に基づく局地風系の切り替え(西よりの風→北又は東よりの風)に伴い生じる静穏〜微風状態と, 接地逆転の発達(最大で地上約300m)により高濃度のピークを生じることが明らかになった。