著者
森 晃徳 佐分利 柾寿 斎藤 泰一 山本 和彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.1583-1588, 1991
被引用文献数
5

約5〜60秒以下の短期記憶の容量は, 感覚や対象の種類によらずほぼ一定7±2で, 魔法の数7±2と呼ばれている.ここでは, 10〜60分以上の長期記憶の一種である近時記憶においても, 魔法の7±2を限界とする現象が存在することを未知の経路の認知地図に関して明らかにした.まず, 分岐点数が7,8,9,12,13,14の6個の経路の位相構造(分岐点群とその出現順序)の把握の実験を行い, その限界が分岐点数約8であることを示した.続いて, 1つの経路をいくつかの区間に分割してランダムに提示し, それを正しい順序に並べ換えるという1次元ジグソパズル的実験を行った.そして, 並べ換え可能な限界が, 分割数7と10の間にあることを明らかにした.また, 経路の位相構造を把握できなくなると, 作図された地図の形にどんな変化が生じるかを単調順行率なる量を導入して調べたところ, 地図の形に一定の偏りが現れることを明らかにした.前者の結果は, 魔法の数7±2が, 脳における情報表現の基本構造を反映している可能性を示唆し, 後者は, 定型の振舞いをするデフォルトシステムの存在の可能性を示唆していると考えられる.
著者
島田 竜也 河口 尚広 加賀 健太 山田 博三 森 晃徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.2054-2068, 2005-10-01
参考文献数
11
被引用文献数
27

近年犯罪の著しい増加に伴い, 侵入者検知の研究・開発の必要性が叫ばれている. 本論文は, 安価で高機能な侵入者検知システム開発のための一つのシーズを提案するものである. 本論文で解決した機能は, (1)光源の移動を含め滑らかな照明の変化に対処できること(2)ゆっくり移動する侵入者の存在領域の明りょうな検出(3)途中で静止する侵入者の存在領域の明りょうな検出の三つの機能である. 機能(1)と(2)は, 互いに矛盾しているように見えるものである. 具体的手法は, 「侵入者を含まない現在の背景画像と現在の入力画像の差分画像から侵入者の存在領域を検出するもの」である. 現在の背景画像をいかに簡単かつ正確に更新するかが最も重要な点であり, 上記三つの機能を同時に実現する手法はなかった. 我々は, 「侵入者検出領域及びその境界では, 加重平均処理を背景画像に施さない」という手法で上記機能を実現した.
著者
西島 幹博 山口 孝之 森 晃徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.542, pp.115-120, 2008-03-05
被引用文献数
1

注視点移動の基本的特性に関する従来の心理物理的実験を調べ、現象論的法則群の相違点、実験手法・条件の相違点などを明らかにした。相違点は、実験条件にあるとし、適切と思われる新しい実験条件を設定して心理物理学的現象の確定を試みた。次に、サッカードに関する神経生理学的研究を調べ、サッカード決定の概略的仮説の設定を試みた。最後に、高次過程の例として漢字の崩壊現象と注視点移動の関係に関する仮説設定と漢字の崩壊現象を用いた検証実験を試みた。