著者
荒木 真理人 森下 総司 小松 則夫
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.2526-2534, 2016 (Released:2017-01-13)
参考文献数
50

本稿では,フィラデルフィア染色体陰性の骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms, MPN)の発症に関与すると考えられる遺伝子変異や遺伝的背景について,最新の知見を紹介し,これらの遺伝学的要因のMPN発症における役割を概説する。これまでに,MPNに特異的なJAK2,CALR,MPL遺伝子変異については,サイトカイン受容体の恒常的な活性化を引き起こしていることが示されている。また,他の造血器腫瘍と共通して見いだされる遺伝子変異については,疾患特異的な遺伝子変異と共役することで腫瘍化の促進や,病型の決定に働いていることが明らかになってきている。一方で,これらの遺伝子変異の一部が,健常な高齢者でも見いだされることから,MPNの発症メカニズムはまだ完全に解明されていない。今後は,MPN発症に関与する遺伝的要因を含めた,より詳細な解析により,MPN発症メカニズムの全貌が解明されることを期待したい。
著者
森下 総司
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2011-02

制度:新 ; 報告番号:甲3326号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2011/3/15 ; 早大学位記番号:新5630
著者
森下 総司
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

骨髄増殖性腫瘍(MPN)には,主として真性赤血球増加症(PV),本態性血小板血症(ET),原発性骨髄線維症(PMF)などが含まれる。我が国のMPN症例におけるJAK2遺伝子変異の陽性率はPVが94.4%,ETが51.9%,PMFが54.7%であった。PVと診断されたにも関わらずJAK2遺伝子変異が陰性であった5例について,JAK2の全エクソンを次世代シークエンサーで解析したところ,共通する遺伝子変異を2つ同定できた。これらはアジア人に特有のSNPであったが,アミノ酸の置換を伴わない変異であった。以上のことから,我が国におけるPV診断ではJAK2遺伝子変異検査が重要であると考えられる。