著者
大江 昌彦 白髭 由恵 窪田 泰夫 乾 まどか 村上 有美 松中 浩 森岡 恒男
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.127-132, 2010-06-20 (Released:2012-06-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

近年のにきび用化粧品は,毛包漏斗部を閉塞するような成分を除きpHを弱酸性にするなど,処方面での工夫がなされており,にきび患者が使用試験して問題となることは少ない。反面,化粧品の使い方(スキンケア)については,人によって方法が異なるのが現状である。そこで,〓瘡患者を対象として,化粧品の使用実態調査を行った結果,〓瘡患者は健常者に比べ,洗顔回数や洗顔料の使用量が多いことなどが明らかとなり,〓瘡の予防や改善のためには,化粧指導とスキンケアが重要であることがわかった。今回われわれは,女性〓瘡患者31名を対象として,皮膚科専門医による化粧指導とともにスキンケア製品を2カ月間使用し,皮膚生理機能および患者のQOLを調べた。その結果,皮膚の生理機能や患者のQOLの改善が確認され,皮膚科医によるスキンケア指導は,〓瘡患者の治療補助として役立つことが確認できた。
著者
大江 昌彦 奥村 秀信 山村 達郎 松中 浩 森岡 恒男
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.220-225, 2004-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

海水に含まれるミネラル成分であるオリゴマリン®について, 保湿ならびに肌荒れ改善作用に着目して検討を行った。その結果, オリゴマリン®は培養真皮線維芽細胞を活性化して, コラーゲン産生を促進した。また, 培養ケラチノサイトに対しては, 角化マーカーであるトランスグルタミナーゼ (TG-1) やインボルクリンの発現を高め, 角化を充進させることを確認した。さらに, オリゴマリン®の配合量に応じて角層水分量が増加することから, 肌表面での保湿作用が確認できた。実際に, 乾燥肌の被験者を対象とした使用試験の結果, オリゴマリン®を配合したローションの使用部位で角質水分量の増加, TEWLの減少, ならびに角質細胞形態の改善が観察された。したがって, オリゴマリン®には, 真皮マトリックス構造を強化するとともに, 表皮の角化を促してバリア機能を改善することで肌表面の水分保持能を高め, 肌荒れの予防・改善に有用であることが示唆された。