著者
岡崎 真博 森島 信 松谷 宏紀
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.89-90, 2019-02-28

近年、GPUなどのハードウェアを用いた処理の高速化、省電力化などが研究されている。また、扱われるデータ量が増え続けることが予想され、高速化、省電力化の需要はますます高まっている。本論文では複数のGPU(Graphics Processing Unit)をネットワーク経由で用いて、演算の高速化を行い、評価を行う。通常GPUは、マシンのPCIeに直接接続して使用することが多いが、大量のGPUを同時に使用する際や、複数のマシンで単一のGPUを使用する際にはネットワーク経由で使用する必要がある。本論文ではクライアントサーバモデルによる接続手法とPCIe over 10GbEによる接続手法の2つを使用し、特徴に合わせて割り当てを行う。
著者
森島 信 松谷 宏紀
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2018-ARC-231, no.22, pp.1-6, 2018-06-07

ブロックチェーンは,暗号通貨ビットコインで提案された P2P ネットワークで構成される分散型台帳システムであり,国際送金,個人間取引,資産の保全等幅広い用途に用いられている.ブロックチェーンでは,仮に取引の作成者であっても変更や削除ができないという性質によって改竄耐性が高められているが,この性質は,誤取引や秘密鍵の盗難などによって作成された不正取引を後から修正出来ないという問題点にもなる.この問題点により,一度盗難等の不正取引が発生した場合,その被害が拡大しやすく,承認前に取引を修正する等の対策を取り,被害を抑える必要がある.そのためには,高速に不正取引を検知する必要がある.しかし,ブロックチェーンにおいて異常を検知するためには様々な特徴量を用いて検知を繰り返す必要があるため,特徴量抽出がオーバーヘッドとなり,高速な異常検知が困難である.そこで,本論文では,並列計算性能に優れる GPU を用いて特徴量の抽出に必要な取引情報をキャッシュし,GPU 内で特徴量抽出と異常検知双方を行うことで,様々な特徴量を用いる異常検知を高速化することを提案する.提案手法により,計算量の大きい条件付きの特徴による Krneans 法を用いた異常検知で,利用者数 100 万,取引数 1 億の時に CPU 処理の 37.1 倍,異常検知のみを GPU で行う手法の 16.1 倍の高速化を実現した.
著者
森島 信 松谷 宏紀
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.12, pp.949-963, 2017-12-01

ドキュメント指向型データベースは,ユーザがスキーマレスにドキュメントを保存し,それに対する探索クエリを実行できるデータベースである.その利用用途として,高い拡張性や豊富な機能が要求されるウェブアプリケーションやオンラインゲームが挙げられる.ドキュメント指向型データベースの主な機能の一つは,ドキュメントに対する文字列探索であり,その計算量はドキュメント数に比例して増加するため,多くのドキュメントを扱う場合,計算量が非常に大きくなる.この計算量を削減するため,ドキュメント指向型データベースでは,データベースインデックスが使われている.しかし,インデックスは全てのクエリに適用できるわけではなく,例えば,正規表現探索等のクエリに適用するのは困難である.これらのインデックスを適用できないクエリをGPUを用いて高速化するために,本論文では,DDBキャッシュ(Document-oriented DataBaseキャッシュ)というGPUでの文字列探索処理に適した構造のキャッシュを提案する.GPUとDDBキャッシュを用いることで,ドキュメント指向型データベースの文字列探索処理をインデックスを使わずに高速化できる.更に,ハッシュ機構を用いてDDBキャッシュを分割し,複数台のGPUに分散する手法を提案し,GPUを用いた手法の水平拡張も可能にする.評価では,代表的なドキュメント指向型データベースであるMongoDBを対象にDDBキャッシュを実装し,性能を評価した.その結果,インデックスの適用できない正規表現探索クエリにおいて,GPUを用いた提案手法はMongoDBを大幅に上回るスループットを達成した.また,GPUの数を1台から3台に増やしたことで,2.7倍のスループットの向上を達成し,GPU数を増やすことで水平拡張ができることを示した.