著者
前川 紀雅 森本 昌宏 森本 充男 打田 智久 白井 達 吉岡 愛 森本 悦司 古賀 義久
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.148-152, 2009-05-25 (Released:2011-09-01)
参考文献数
10

脳脊髄液減少症は起立性頭痛を特徴とし,脳脊髄液の減少により生じる.これに対する治療法として,硬膜外自家血注入法(自家血注入)が広く用いられているが,硬膜外生理食塩液注入法(生食注入)が診断法の1つとして推奨されている.筆者らは,2カ月から30年間脳脊髄液減少症に罹患していた10症例(外傷性8症例,特発性1症例,脊麻後頭痛1症例)の治療としてX線透視下に生食注入(造影剤との混合注入)を行い,その有効性について検討した.これらのうち6例では自家血注入の既往があり,RI脳槽シンチグラムで4症例で髄液の漏出,5症例で早期膀胱内集積があった.生食注入により起立性頭痛,視機能異常や耳鳴りなどの症状はすべての症例(7症例では1回,3症例では2回の施行)で改善した.以上より,脳脊髄液減少症に対して保存的療法が奏効しないときには,生食注入は試みてよい治療法の1つであると考えられた.
著者
岡本 慎司 森本 昌宏 森本 充男 前川 紀雅 森本 悦司 古賀 義久
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.570-575, 2006 (Released:2006-10-25)
参考文献数
10

進行がんに対する治療法の進歩による患者の延命に伴い, 痛みを訴える患者が増加していると推察される. このような患者は痛みのコントロールが困難であるとして当科に紹介されることが多く, これらの痛みに対しては神経ブロック療法の併用を積極的に行っている. 特に骨転移による痛みは医療用麻薬のみでコントロールすることは不可能であり, 持続硬膜外ブロックを選択することが多い. さらに, 当科では在宅での管理を積極的に行っており, 硬膜外持続注入用アクセスを用い, 21名で良好な除痛効果を確認している. がん性疼痛患者に対しては, 医療用麻薬一辺倒ではなく適切な時期に適切な神経ブロック療法を行うべきであり, 在宅での管理にあたっては, 硬膜外持続注入用アクセス植え込みを積極的に施行すべきと思われる.