- 著者
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森本 桂
岩崎 厚
- 出版者
- 一般社団法人日本森林学会
- 雑誌
- 日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.6, pp.177-183, 1972-06-25
- 被引用文献数
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l)マツノザイセンチュウの最も有力な伝播者は, マツノマダラカミキリである。2)大矢野町の枯損木から羽化したマツノマダラカミキリは, 71%がこの線虫を持っており, また1頭当りの持っている線虫数は平均3,146頭, 最高8,783頭であった。3)マツノザイセンチュウは, 耐久型幼虫の形で, マツノマダラカミキリの体表面や上翅裏面に付着しており, また気門(特に腹部第1気門)の中には塊状になってはいっている。4)この耐久型幼虫は, マツノマダラカミキリを高湿度に保つか, 水に浸すと虫体から容易に離脱する。試験管による個体飼育では, 2〜3週目に線虫落下の山がある(20℃, 93%RH)。5)野外では, 耐久型幼虫はマツノマダラカミキリの羽化脱出から産卵を始めるまでの間に, 80%以上が虫体から落ちるものと思われる。6)マツノマダラカミキリの後食部で, 耐久型幼虫は脱皮を行ない, マツ樹体内へ侵入することができる。7)枝の一部を, 羽化脱出直後のマツノマダラカミキリに後食させると, 健全なマツでも枯れてしまい, その枯死木から多数のマツノザイセンチュウが検出できる。8)1939〜'41年にまつくいむしの激害地から採集されたマツノマダラカミキリの標本から, マツノザイセンチュウの耐久型幼虫を検出できたので, 当時のマツ枯損にもこの線虫が関係していたものと思われる。