- 著者
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森沢 正昭
小笠原 強
林 博司
- 出版者
- 東京大学
- 雑誌
- 一般研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1985
61年度の研究により単一の成功まで精製されたニジマス精子の運動関始の〓絡的な引き金をひくと考えられている15Kタンパン質について精製タンパク質及び15Kタンパク質の抗体の精子運動装置,軸系の運動性に対する影響について調べた. その結果,強い界面活性剤処理によって運動性も乗った軸系が15Kタンパク質を添加することにより運動性を回復すること,15Kタンパン質の抗体は15Kタンパン質のリン酸化を抑制すると同時に軸系の運動性も阻害することが明らかとなり,15Kタンパク質のリン酸化が真に粒子運動開始機構の重要なステップであることが示唆された. 一方,Protein kinaseの非特異的阻害試薬は15Kタンパク質を含む軸系上の全てのリン酸化タンパク質のリン酸化を抑制し,同時に軸系の運動も抑えること,Tyrosine kinaseに特異的な阻害試薬は15Kタンパク質のリン酸化のみを抑え,軸系の運動も抑えることなどから,CAMPは直接Tyrosine kinaseを活性化するのではなくCAMP→普通のProtein kinaseの活性化→tyrosline kinaseのリン酸化と活性化→15Kタンパン質のリン酸化という過程を経て精子運動開始が起ると考えられる. 更に種々のProteaseがCAMP無しで独果に精子運動開始を誘起すること,protease阻害試薬,基質が精子運動性を抑制する事からproteaseの精子運動開始への寄与が強く示唆された. 現在,上記三要因の軸系タンパクのリン酸化に対する影響について調べており,その結果の解析が3サケ科魚粘で精子運動開始機構の全貌が解明されることが期待される. 又,海産無稚動物,哺乳類についても15Kタンパク質の検索を行い,ウニ等では本タンパン質の存在が確認された. K^T/Ca^<Zr>→CAMP→Protein kinase→154タンパク質のリン酸化→Proteaseの関子というカスケードが多くの動物に共通の精子運動関始機構であることが明らかとなることはそう遠い将来ではないと考えられる.