著者
早坂 洋史 森田 克己 松岡 龍介
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.35, no.Supplement, pp.57-58, 2001 (Released:2010-08-25)
参考文献数
1

図形認識力における男女差は、よく知られているにも拘わらず、その理由は必ずしも明白ではなかったように思われる。A.Peaseらは、彼らの著書『話を聞かない男、地図が読めない女』の中で、人は性によって異なった構造の脳、いわゆる男脳と女脳を有しているとし、その構造の違いにより種々のシチュエーションでの行動パターンが異なっているとしている。例えば、一般的に女性は男性に比べ地図を読むのが苦手だったり、方向音痴だったりするのは、この脳の構造の違いによるものとしている。もしこれが本当ならば、特に図形を取り扱う図形科学系の授業でも、この男脳・女脳を考慮しての教授法の展開が必要となってくると考えられる。本報告では、A.Peaseらが提案している、男脳・女脳テストを紹介すると共に、男脳・女脳テストを著者らが所属する大学で実施した結果につき述べる。男脳・女脳テストの被験者数は、三つの大学で合計257名 (男109名、女148名) であった。テスト結果の点数により、男脳・女脳の分布図を作成した結果、男脳・女脳のオーバーラップ域 (150~180点) に約1/3の学生が含まれること、この範囲を男脳側に20点広げ、130~180点とすると、約半数が含まれること、男性のみの傾向としては、男脳側の130点と90点にピークを有すること、女性のみの傾向として、オーバーラップ上限値の180点と男脳域の100点の両方に二つのピークを有することなどがわかった。また、北海道大学社会工学系の学生 (男35名、女10名) の傾向と上述の全体傾向との比較の結果、約8割弱は男性であるにも拘わらず、オーバーラップ上限の180点にピークを有し、80~230点までの広範な学生層であることなどが明らかになった。今後の課題としては、男脳・女脳テスト結果と図形科学の成績や切断面実形視テスト (MCT) の点数などとの関連性、専攻の違いによる男脳・女脳テスト結果の違いや傾向、などについての詳細な検討は、今後の課題である。
著者
森田 克己
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Supplement1, pp.73-78, 2003 (Released:2010-08-25)
参考文献数
3

自然界には様々な分岐パターンがある。河川と樹木の分岐パターンはその代表的な例として挙げることができる。分岐パターンは自然界の複雑な条件の関与により様々な形状を示すが、ある規則に従って形成されることが知られている。本稿では、種々の分岐パターンのうち、植物の生長における葉序の螺旋パターンに注目した。例えば、樹木の軸に対する柄あるいは茎の配列あるいは、サヤエンドウの軸に対する蔓の関係等に螺旋の分岐パターンが確認できる。本稿では植物の形態イメージをベースにして、独自の造形イメージにより、CGを用い数理造形的に分岐パターンを生成した。螺旋の分岐パターンを生成するアルゴリズムは1.平面曲線の生成2.旋回条件の設定3.チューブ状螺旋の生成である。螺旋の分岐パターンを生成する条件を次の通り設定した。第1に、平面曲線を生成するために、螺旋の種類・分岐段階・分岐数・分岐間隔・分岐位置をパラメータとして設定した。第2に、旋回条件の設定をするために、旋回形状・旋回数・旋回方向をパラメータとした。本稿では、旋回数に対する分岐数の関係に着眼し、旋回分岐比を定義して、分岐パターン生成の基準とした。以上の設定より螺旋の分岐パターンのバリエーションを生成し、検討を加えた。
著者
早坂 洋史 森田 克己 松岡 龍介
出版者
JAPAN SOCIETY FOR GRAPHIC SCIENCE
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.57-58, 2001

図形認識力における男女差は、よく知られているにも拘わらず、その理由は必ずしも明白ではなかったように思われる。A.Peaseらは、彼らの著書『話を聞かない男、地図が読めない女』の中で、人は性によって異なった構造の脳、いわゆる男脳と女脳を有しているとし、その構造の違いにより種々のシチュエーションでの行動パターンが異なっているとしている。例えば、一般的に女性は男性に比べ地図を読むのが苦手だったり、方向音痴だったりするのは、この脳の構造の違いによるものとしている。もしこれが本当ならば、特に図形を取り扱う図形科学系の授業でも、この男脳・女脳を考慮しての教授法の展開が必要となってくると考えられる。本報告では、A.Peaseらが提案している、男脳・女脳テストを紹介すると共に、男脳・女脳テストを著者らが所属する大学で実施した結果につき述べる。男脳・女脳テストの被験者数は、三つの大学で合計257名 (男109名、女148名) であった。テスト結果の点数により、男脳・女脳の分布図を作成した結果、男脳・女脳のオーバーラップ域 (150~180点) に約1/3の学生が含まれること、この範囲を男脳側に20点広げ、130~180点とすると、約半数が含まれること、男性のみの傾向としては、男脳側の130点と90点にピークを有すること、女性のみの傾向として、オーバーラップ上限値の180点と男脳域の100点の両方に二つのピークを有することなどがわかった。また、北海道大学社会工学系の学生 (男35名、女10名) の傾向と上述の全体傾向との比較の結果、約8割弱は男性であるにも拘わらず、オーバーラップ上限の180点にピークを有し、80~230点までの広範な学生層であることなどが明らかになった。今後の課題としては、男脳・女脳テスト結果と図形科学の成績や切断面実形視テスト (MCT) の点数などとの関連性、専攻の違いによる男脳・女脳テスト結果の違いや傾向、などについての詳細な検討は、今後の課題である。
著者
森田 克己
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.157-162, 2004

本研究は拙稿「螺旋の分岐パターンについて」 (1) の続報である。前稿では空間曲線を対象とした分岐パターンについて考察したが、本稿では平面曲線を対象とした分岐パターンの生成をし、造形的に検討した。<BR>螺旋の分岐パターンを生成するための条件を1.螺旋の種類2.分岐区分3.分岐段階4.分岐数5.分岐角度6.旋回分岐角度7.旋回数8.旋回方向9.旋回の種類10.旋回方向による分岐区分11.主螺旋の分岐区分の通り設定した。螺旋の分岐パターンを生成するためのアルゴリズムは1.主螺旋の設定2.分岐点の設定3.分岐段階の設定4.分岐数の設定5.旋回数の設定である。<BR>以上の設定に基づき螺旋の分岐パターンのバリエーションを生成した。その結果、次のことが確認できた。1.求心型分岐の場合は、分岐段階の増加に伴い細部にその形状の特徴を認めることができる。2.遠心型分岐の場合は、分岐段階の増加に伴い中心の密度が高まる傾向がある。
著者
森田 克己
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Supplement1, pp.113-118, 2008 (Released:2010-08-25)
参考文献数
2

われわれの日常に密接に関わりのある紐は, 古くから実用的あるいは装飾的な目的で, 世界中の国々において様々な状況で使用されてきている。造形的な視点から見れば, 大変魅力的な存在であるといえる.紐はその制作方法の選択肢によって, 制作された紐の構造の相違を示すが、本稿では、紐の制作方法における「織る」という操作に注目した。そして, 織ることによってできるパターンを織パターンと定義し、CGを用い、造形的に魅力のある織パターンのバリエーションを生成し、紐の構造に基づいた織パターンの造形性について検討した。
著者
森田 克己
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.53-60, 1998 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

In order to make the synesthesia phenomenonan of colors and image clear, we performed a test using W. wolff s color-word matching method and from the first to the firth factor were exctracted from the factor analytical method.The order from the first to fifth factor are“the pleasantness-unpleasantness-factor”, “the activity-factor”, “the strong-week-factor”, “the evaluation-factor”, “the potency-factor”.In each factor, the first factor corresponds to light clear colors and dark clear colors. The second one is to high chroma and low chroma. The third one is to light clear colors and dark clear colors of warm color. The fourth one is to yellow of“low lightness or high chroma”and“middle lightness and from middle chroma to yellow of low chroma”. The fifth one is to“low lightness and low chroma”and“from middle lightness to warm color of high chroma”.The test was based on matching one handred colors with fifty-five sense adjectives.The results of the test tells us that synesthesia image of colors was defined by mainly tone, depending on chroma and lightness.As for intermodality in colors and sense image, the correlation of the emotional meaning dimension and the meaning dimension of sense was confirmed.