- 著者
-
牧 祐介
森田 美穂
浅井 咲子
森田 哲史
- 出版者
- 日本化粧品技術者会
- 雑誌
- 日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.1, pp.12-17, 2017 (Released:2017-03-22)
- 参考文献数
- 10
- 被引用文献数
-
1
目元のくすみに悩む女性は多い。その理由としては,女性は日頃のアイメークなどに際し目元を注視する機会が多いことに加え,実際にくすみの程度が大きいことが考えられる。特に上眼瞼は,顔の中でもアイメークやその除去など摩擦や圧迫などの物理刺激に晒されている部位である。われわれは,上眼瞼におけるくすみの発生にはこれらの物理刺激が関与しているのではないかと考えた。そこで本研究では,物理刺激によるメラノサイトの活性化に着目し,上眼瞼のくすみの発生メカニズムを明らかにすることを目的として研究を行った。その結果,3 次元培養ヒト皮膚モデルに対する荷重負荷はメラニン生成を促し,ここに一酸化窒素が関与していることが明らかになった。さらに,一酸化窒素消去作用のある素材を用い,化粧品に配合して有効性評価を行ったところ,上眼瞼におけるくすみ改善作用がみられた一方,頬に対する作用はみられなかった。これらの結果から,上眼瞼のくすみ発生には,日常的に繰り返される物理刺激とそれに伴って生成される一酸化窒素が関与していることが明らかになった。