著者
堀辻 麻衣 森田 美穂 井上 明典 北谷 典丈
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.181-187, 2019

<p>近年,コットン等にとってふきとるような動作で使用する,「ふきとり化粧水」の効果や重要性への注目度が高まっている。ふきとりに際して使用する液や日常のスキンケアに対する「ふきとり行為」の追加が皮膚に与える作用については報告があるものの,コットンによるふきとりという行為が皮膚に与える影響とそのメカニズムを解明するには,さらなる検討が必要であった。本研究では,この行為に着目し,ふきとりの作用と機能を明らかにすることを目的として,コットンによるふきとりとパッティングが皮膚状態および皮膚成分に与える作用を比較した。2週間の連用試験の結果,ふきとりを行った部位について,試験開始前のメラニンインデックスが高い測定参加者ほど値の低下が大きかった。さらに,コットンに付着した角層由来タンパク量について,パッティング使用した場合と比較して,有意に多いにもかかわらず,角層厚に変化はみられなかった。これらの結果から,ふきとり行為にはメラニンを含む角層の除去と同時に新たな角層の生成を促進する機能があることが示唆された。さらに,ジヒドロキシアセトンを適用した人為的なサンレスタンニング部に対する適用試験により,ふきとりの角層交換促進作用が確認された。本研究により,コットンによるふきとりが角層交換促進機能を有し,これによって色素を含んだ角層が減少することで,皮膚色を明るくする作用を発揮していることが示された。</p>
著者
鈴木 雄太 浦辺 幸夫 前田 慶明 笹代 純平 森田 美穂
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.209-212, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

〔目的〕競泳選手と非競泳選手の上肢挙上時の脊柱アライメントの変化の違いを探るため,立位とストリームライン(以下,SL)での脊柱アライメントを比較した.〔対象〕競泳群26名,非競泳群20名とした.〔方法〕Spinal Mouse®を用いて立位とSL立位の胸椎,腰椎および骨盤のアライメントの変化量,SL立位での上肢挙上角度を測定した.〔結果〕競泳群では上肢挙上角度が大きな対象ほど,胸椎の後弯,腰椎の前弯,骨盤の前傾が小さかった.非競泳群では,いずれの変化量も上肢挙上角度と有意な相関は認められなかった.〔結語〕上肢挙上角度が大きい競泳選手は胸椎の伸展運動によって腰椎前弯と骨盤前傾を小さくすることが可能であることが示された.
著者
牧 祐介 森田 美穂 浅井 咲子 森田 哲史
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.12-17, 2017 (Released:2017-03-22)
参考文献数
10
被引用文献数
1

目元のくすみに悩む女性は多い。その理由としては,女性は日頃のアイメークなどに際し目元を注視する機会が多いことに加え,実際にくすみの程度が大きいことが考えられる。特に上眼瞼は,顔の中でもアイメークやその除去など摩擦や圧迫などの物理刺激に晒されている部位である。われわれは,上眼瞼におけるくすみの発生にはこれらの物理刺激が関与しているのではないかと考えた。そこで本研究では,物理刺激によるメラノサイトの活性化に着目し,上眼瞼のくすみの発生メカニズムを明らかにすることを目的として研究を行った。その結果,3 次元培養ヒト皮膚モデルに対する荷重負荷はメラニン生成を促し,ここに一酸化窒素が関与していることが明らかになった。さらに,一酸化窒素消去作用のある素材を用い,化粧品に配合して有効性評価を行ったところ,上眼瞼におけるくすみ改善作用がみられた一方,頬に対する作用はみられなかった。これらの結果から,上眼瞼のくすみ発生には,日常的に繰り返される物理刺激とそれに伴って生成される一酸化窒素が関与していることが明らかになった。
著者
北村 郁海 浦辺 幸夫 前田 慶明 藤井 絵里 森田 美穂
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】アキレス腱障がいはランニング障がいの8-15%におよぶ。発生リスクには,走行中の立脚期での足関節最大背屈角速度(pDV)の増加,腓腹筋の筋活動の増加などがあり,前足部接地で起こりやすいとされている。一方,意識的に後足部接地をする走行では足関節底屈筋群の負担が少ないという報告がある。しかし,足関節背屈を意識した接地による下肢関節運動と筋活動の変化は不明である。本研究では,足関節背屈の意識により,踵接地前の前脛骨筋(TA)および踵接地後の大腿直筋(RF)の筋活動は増加し,立脚期での腓腹筋の筋活動は低下するという仮説のもと測定を行った。【方法】対象は下肢に神経学的および整形外科的疾患がない健康な大学陸上長距離選手6名(男性2名,女性4名,年齢21.3±1.0歳,身長160.3±7.7cm,体重51.8±5.3kg,競技歴6.2±3.3年)とした。マーカーを対象の右大腿,膝,足部の外側6か所に貼付した。筋活動の測定には無線筋電計(追坂電子機器社)を用い,電極を腓腹筋外側頭(LG)と内側頭(MG),TA,RFの筋腹に貼付した。課題動作は,トレッドミル上での通常走行(NR)と,踵接地時に足関節背屈を意識した走行(DR)とし,いずれも2.5m/sの速度で1分間行った。動作はデジタルカメラ(EX-FC500S,CASIO社)を使用して撮影した。McClayら(1998)の方法に準じ,接地時を0%,爪先離地を100%とし,接地前の50ms間を踵接地前,0-60%を立脚前期,60-100%を立脚後期として解析した。得られた筋電図波形は動画と同期させ,%MVCの平均値を各相に分けて算出した。統計学的解析にはExcelアドインソフトStatcel3(オーエムエス出版社)を使用し,対応のあるt検定を用いて接地時の床面と足底のなす角度(FSA),膝関節屈曲角度(接地時,膝関節最大屈曲時とその変化量),pDV,筋活動の5走行周期の平均値をそれぞれ2条件間で比較した。危険率は5%未満とした。【結果】FSA(°)はNRで10.0±7.4, DRで16.1±6.0であり,DRで6.1°の有意な増加を確認した(p<0.05)。膝関節屈曲角度ではそれぞれ有意差を認めなかった。pDV(°/sec)はNRで473.0±26.9,DRで412.0±49.9であり,DRで12.9%有意に減少した(p<0.05)。筋活動(%MVC)は,踵接地前のTAではNRで40.6±9.4,DRで74.8±40.3であり,DRで84.2%有意に増加したが(p<0.05),他は有意差を認めなかった。【結論】本研究では,NRと比較し,DRでは踵接地前でのTAの筋活動が増加し,pDVが減少することが確認できた。TAは踵接地後の足関節底屈時に遠心性収縮をすることにより衝撃を緩衝する機能を持つと考えられる。立脚前期での足関節背屈時には足関節底屈筋の遠心性収縮により衝撃吸収を行う必要があるが,DRではTAによる踵接地時の衝撃が緩衝される影響を受け,pDVが減少すると考えた。これが足関節底屈筋の負担を軽減させ,結果としてアキレス腱障がいを防止することに役立つと推察した。
著者
藤下 裕文 浦辺 幸夫 沼野 崇平 堤 省吾 森田 美穂 竹内 拓哉 前田 慶明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1261, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】アンプティサッカーは主に切断者が行うスポーツであり,ロフストランドクラッチ(以下,クラッチ)を使用して走行する。筆者らは第51回の本学会でクラッチを用いた片脚走行は,骨盤前傾角度と走行速度に相関があることを報告した。しかし,足部とクラッチの位置関係,クラッチの支持時間等が走行速度に与える影響については不明であった。一般的な走行では,ストライドの延長と足部の接地時間の短縮が走行速度を増加させる一要因とされており,クラッチを用いた片脚走行でも足部とクラッチ接地の距離が走行速度に影響している可能性が考えられた。本研究では,クラッチの接地方法が走行速度に与える影響を明らかにすることを目的とした。仮説は,足部とクラッチ接地位置の距離が伸び,クラッチの支持時間が短縮されることで走行速度が速くなるとした。【方法】対象は下肢切断のない健常男子大学生で,アンプティサッカー経験群6名(年齢20.5±1.3歳,身長173.7±4.9cm,体重64.5±0.8kg,経験歴:3か月以上),未経験群6名(年齢21.0±0.6歳,身長171.5±5.4cm,体重60.7±7.0kg)の計12名とした。測定には三次元動作解析装置と床反力計を用いた。反射マーカーをPlug-in Gait modelで全身に35か所,クラッチの先端部に1か所貼付した。課題動作は,下肢切断者を想定し,非利き脚を弾性包帯で膝関節最大屈曲位にて固定した。分析項目は走行速度,クラッチ接地時のクラッチ先端部とToeのマーカーの距離,足部接地時のクラッチ先端部とHeelのマーカーの距離,クラッチ支持時間とした。距離は身長で除し,クラッチに貼付したマーカーの鉛直座標の変化量が1mm以下になった瞬間を接地,それ以上変化した瞬間を離地とした。統計学的解析には,各項目の2群間の比較に対応のないt検定,走行速度との関係を示すためにピアソンの相関係数を用い,いずれも危険率5%未満を有意とした。【結果】走行速度(m/s)は経験群で3.3±0.2,未経験群で2.9±0.3となり経験群が有意に速かった(p<0.05)。クラッチ先端とToe,Heelのそれぞれの距離は2群間で差がなく,クラッチ接地の位置に差はなかった。クラッチ支持時間(ms)は,経験群で227.8±36.3,未経験群で324.4±40.4となり有意に経験群が短かった(p<0.05)。クラッチ支持時間は走行速度と強い負の相関(r=-0.87,p<0.05)を認めた。【結論】アンプティサッカーでのクラッチを用いた片脚走行は,クラッチを接地させる位置による走行速度の違いはなく,走行速度が速いほどクラッチ支持時間が短いことが分かった。より速く走行し,競技力を高めるための指導として,クラッチ支持の時間を短くするように指導することが有効である可能性を示した。