著者
吉田 綾子 山縣 弘樹 吉田 敏章 鶴巻 峰夫 森田 弘昭
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究論文集 (ISSN:13459597)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.433-441, 2006

本研究では, ディスポーザー設置地区のごみ集積場におけるごみ調査及びディスポーザー使用者の意識調査を実施し, ディスポーザーの導入によりごみ処理システムから下水道システムに移行する厨芥の量及び組成の解析を行った.得られた結果を以下に示す.<BR>1) ディスポーザーを導入した場合でもごみ集積場に厨芥が100g/人・日程度残存し, 厨芥移行率は100%とならない.<BR>2) ディスポーザー導入地区でも, 日常的にディスポーザーを使用しない世帯が1割, 厨芥を全量ディスポーザーで処理しない世帯が3割程度存在する.<BR>3) 厨芥を分別収集しても, 分別しきれない厨芥が発生する.<BR>4) ディスポーザー設置地区と未設置地区では, 厨芥類のみを分別収集したごみ組成に相違はなかった. しかし, 可燃ごみに混入した厨芥やディスポーザーに投入される厨芥の組成については, 今後の課題といえる.
著者
靏巻 峰夫 藤川 滉大 中島 大雅 岡崎 祐介 佐藤 克己 吉田 綾子 森田 弘昭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.II_333-II_342, 2020 (Released:2021-03-08)
参考文献数
22

人口減少下に入った我が国では,公共サービスの量と質の維持が,今後,問題となると考えられる.下水道,ごみ処理分野でも同様な状況であり,早急な対策が必要である.下水道直投型ディスポーザー(以下,「DP」)の導入は,可燃ごみの減量化と取り扱いに難がある厨芥類の除外によってごみ処理での効率化が期待できる.一方で,下水道に投入された厨芥類によって下水処理への水質負荷の増大による負の側面がある.本研究ではDP排水の管路内での水質模擬実験のデータに基づき下水処理施設に到達する水質負荷の変化を予測し,その結果を反映した温室効果ガス(以下,「GHG」)排出量予測によって下水処理,可燃ごみ処理の影響を検討した.結果として,DP排水による下水処理での増加に比較して可燃ごみ減量による削減が大きく,直投型DPの導入はGHG排出量削減に寄与することを明らかにした.
著者
佐藤 克己 高橋 岩仁 保坂 成司 森田 弘昭
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.326-335, 2020-11-20 (Released:2020-11-29)
参考文献数
19

「トイレに流せる」と表示している衛生製品は,日本や欧米で製造販売され,その利便性のために急速に普及している.これらの衛生製品には世界の下水道関係者団体と欧米の製造者団体が制定した2つの国際規格がある.一方で,日本では規格化の途上にあるのが現状である.本研究では,トイレに流せるとする衛生製品の水解性について,国内規格化に向けた課題整理を念頭に,世界の下水道関係者団体が定めた規格(IWSFG PAS3)と日本のトイレットペーパー規格(JIS P 4501)により製品の水解性を検証するとともにそれぞれの試験方法を評価した.その結果,トイレットペーパーと同様に水解するものからまったく水解しない製品が流通していることが判明した.そして,国内規格が制定されていないなか,JIS P 4501を代用することには,ある程度の合理性があることが明らかになった.また,IWSFG PAS3は下水道施設の維持管理にとって安全側見地に立った試験法であることが確認できた.