著者
植木 重治
出版者
秋田医学会
雑誌
秋田医学 (ISSN:03866106)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.11-17, 2017

国民の半数近くが何らかのアレルギー性疾患を有するとされ,その病態を明らかにすることは社会的な要請である.アレルギーを理解する上で,慢性炎症の概念は欠くことができない.多くの病態で好酸球を中心とした炎症細胞が組織に集積し,障害をきたすことが問題となっている.好酸球は一方で,寄生虫や病原微生物に対する免疫,組織改変や恒常性の維持など多才な役割を担う細胞であり,好酸球の状態を適切に把握し治療に応用することが求められている.
著者
小山田 一 守時 由起 茆原 順一 植木 重治
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

プロスタグランジンD2(PGD2)はアレルギー炎症の形成に重要な役割を担っている。PGD2の作用は細胞表面受容体であるCRTH2/DP1、もしくは核内受容体を介していることが知られていたが、これまでの検討から未知の細胞表面受容体の存在が示唆された。われわれはPGD2がケモカイン受容体CCR3の発現を抑制し、これが通常リガンド刺激で認められるinternalizationによるものであることを見いだした。そこでPGD2がCCR3を介して機能している可能性を、トランスフェクション細胞を用いた受容体結合試験やカルシウムシグナルによる検討を行ったが、いずれにおいても否定的な結果が得られた。