著者
山形 孝志 敦賀 貴之 植松 良公 生藤 昌子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究課題では、炭素排出権取引市場や炭素税など炭素価格付加政策の排出削減効果と経済活動への影響を、統計・理論、両面からの分析を行う。具体的には、新たな高次元動学パネルデータ統計分析手法を開発し(研究課題1)、世界炭素排出量と経済の国際動学的関係を実証分析する。そして炭素価格付加政策の効果とマクロ経済に与える影響を、上記統計手法(研究課題2)ならびにマクロ経済理論(研究課題3)から分析する。さらに2020年以降の排出削減の国際的枠組みである「パリ協定」に科学的根拠を与えたIPCCの気温上昇予測値が多数の外部研究結果に基づきどのように導かれたかを、新たな統計的手法よって明らかにする(研究課題4)。
著者
植松 良公
出版者
統計数理研究所
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2014-04-25

平成28年度の研究内容は主に,1.高次元時系列予測,2.スパース直交ファクター回帰,3.非定常非線形分位点回帰,4.非線形ファクターモデル,5.高次元FDRコントロール,の5点である:1.理論面では最適な予測誤差の上限とモデル選択の一致性を示したほか,実証面では米国の高次元マクロ経済データを用いたGDP予測を行った.この論文は昨年度末にJournal of Business & Economic Statisticsからの改定要求を受けていたため,今年度はその改訂作業を行い,同ジャーナルに再投稿した.2.昨年度に得られた理論的成果の証明について若干の修正を加え,論文全体も新しい理論に合わせて改訂した.この論文は最終的に,Journal of the Royal Statistical Society: Series B に再投稿した.3.昨年度再投稿したEconometric Reviewsからの2回目の改訂要求を受けて,再び論文の修正・加筆を行った.推定精度とパラメータ制約の検定に関するシミュレーションを刷新し,またバイアス修正した推定量の漸近理論も付け足した.結果,同ジャーナルに掲載が決まった.4.今年度は実証分析に焦点を当て,非線形ファクターがマクロ経済時系列の予測に有効かどうかを考察した.方法論は確立しているものの,細かなモデリングの差や,チューニングによって実証結果が変わるため,より良い結果が出るよう現在も研究を続けている.5.Barber and Candes (2015)は,FDRのコントロール手法として,Knockoff filterを提案した.これは既存の方法よりも優れた性能を示すが,モデルが高次元の場合には適用できない.この点を解決すべく,ファクター構造やモデルのスパース性を仮定することで次元縮約をしつつFDRをコントロールする枠組みを模索している.