著者
横山 幸生 島田 尊正 竹村 淳 椎名 毅 斉藤 陽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1050-1058, 1993-08-25
被引用文献数
11

睡眠の深度やその時間変化の異常は,精神疾患や脳の基質的障害を反映しているため,その状態を把握することは臨床上極めて重要となる.睡眠時の脳波には睡眠深度に応じて瘤波や紡鍾波などの特徴波が現れるので,医師はその特徴波を認識して睡眠深度を判定する.しかし,この判読には熟練を要するだけでなく,1回の計測で千ページ以上にもなる膨大な脳波データを見るため,医師の労力と多くの時間を必要とする.本論文では,計算機により睡眠脳波の短区間スペクトルの特徴を抽出し,それにより睡眠脳波中の特徴波を自動的に検出する新たな手法を提案している.手法手は,(a)脳波の短区間スペクトルについてその形状の主成分分析により数次元の特徴ベクトルを抽出する処理と,(b)瘤波,紡鍾波,徐波などの睡眠脳波中の特徴波の特徴ベクトルを教師データとして学習させたニューラルネットワークを用いて,被検査用脳波の特徴波検出を行う部分よりなる.本手法により脳波データを処理した結果,教師データと同一被験者において80%以上の高い判定率が得られ,多少の波形ひずみにも対応できることが示された.
著者
椎名 毅
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.45, pp.59-63, 2008-05-15

組織弾性は、病変などによる組織性状の変化を硬さの観点から術者が直感的に捉えることのできる特徴量であり、診断に有益な情報を与える.このため、組織に対して与えられる静的な圧縮や低周波振動、あるいは放射圧など、様々な負荷に対する組織の力学的応答を計測することによって組織の弾性情報を得、それを映像化する組織弾性イメージング技術の開発が進められている.術者が触診的に実時間で診断を行うためには、超音波プローブを用いて静的な圧縮を与えるフリーハンド手技が適しており、そのような観点に基づいて著者らは、高精度かつ高速処理が可能で、安定した組織弾性像が得られる複合自己相関法を開発し、乳癌組織計測を通じてその有用性を確認してきた。さらに企業との共同研究により、実用機を開発した。本稿では、主にこれらの原理と適用例について示し、組織弾性イメージングの有用性について論じる.