著者
竹村 淳子 津島 ひろ江 泊 祐子
出版者
日本小児保健協会
雑誌
小児保健研究 = The journal of child health (ISSN:00374113)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.72-80, 2014-01

成人移行期に二次障害を発症した重症心身障害児の親が治療選択過程で発揮するレジリエンスの様相を明らかにするため, M-GTA の手法を用いて質的に分析した。その結果,親は《二次障害の予備知識のえ蓄え》を土台に,《二次障害出現の実感》をしていた。症状が出現すると《治療の価値と機能の喪失の聞で逡巡》しつつ, 《体調回復への努力》をしたが,わが子の体調悪化をみて《タイムリミットの見極め》をしていた。親は苦悩を断ち切り,二次障害の治療は, 《わが子が生きるための治療と判断》する。そして,〈この先も続く体調変化を受け止める覚悟〉をしながら.,《わが子の体調変化に向き合う覚悟》を高めてゆく。
著者
横山 幸生 島田 尊正 竹村 淳 椎名 毅 斉藤 陽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1050-1058, 1993-08-25
被引用文献数
11

睡眠の深度やその時間変化の異常は,精神疾患や脳の基質的障害を反映しているため,その状態を把握することは臨床上極めて重要となる.睡眠時の脳波には睡眠深度に応じて瘤波や紡鍾波などの特徴波が現れるので,医師はその特徴波を認識して睡眠深度を判定する.しかし,この判読には熟練を要するだけでなく,1回の計測で千ページ以上にもなる膨大な脳波データを見るため,医師の労力と多くの時間を必要とする.本論文では,計算機により睡眠脳波の短区間スペクトルの特徴を抽出し,それにより睡眠脳波中の特徴波を自動的に検出する新たな手法を提案している.手法手は,(a)脳波の短区間スペクトルについてその形状の主成分分析により数次元の特徴ベクトルを抽出する処理と,(b)瘤波,紡鍾波,徐波などの睡眠脳波中の特徴波の特徴ベクトルを教師データとして学習させたニューラルネットワークを用いて,被検査用脳波の特徴波検出を行う部分よりなる.本手法により脳波データを処理した結果,教師データと同一被験者において80%以上の高い判定率が得られ,多少の波形ひずみにも対応できることが示された.