- 著者
-
落合 明
楳田 晋
- 出版者
- The Ichthyological Society of Japan
- 雑誌
- 魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
- 巻号頁・発行日
- vol.16, no.2, pp.50-54, 1969-09-15 (Released:2010-06-28)
- 参考文献数
- 11
1967年9月より11月にかけて高知県須崎市および宿毛市に来遊する成熟ボラの産卵生態を調査し, 次の事項が明らかとなった。1。雌は大型で体長43cm以上はすべて雌であり, 雄は小型で, 31cm以下はすべて雄によって占められる。2。卵径は9月16日に0.22mm, 10月17日に0.37mm, 11月2日に0.66mm, 11月4日に0.68mmとなり, 11月に入って急激に肥大した。3.カラスミとなる雌個体は10月22日に出現し, 11月4日に最も多く, 11月10日には全く認められなかった。4.カラスミとなる卵巣は体長35cm前後で約200g, 45cm前後で約350g, 50cm前後で500gに達し, 生殖腺指数は10-21の間にある。この卵巣卵は成熟過程からみて卵黄球期のものに相当する、5。雌の放卵魚体は11月2日に出現し, 11月10日まで認められた。6。成熟精巣は卵巣のように肥大せず, その重量は159前後にとどまった。7、成熟の雄は10月18日に出現し, 11月10日まで認められた、8。須崎湾における産卵期間はせいぜい20日前後である、