著者
榎本 千賀子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.s2, pp.s62-s65, 2022 (Released:2022-06-13)
参考文献数
6

コミュニティ・アーカイブは、地域をはじめとした様々なコミュニティが、自らが主体となって、自らの利益のために、自身に関する記録の収集・管理・活用に取り組む事業である。コミュニティ・アーカイブが公共性と継続性を保つためには、コミュニティ内外の多様な観点から、記録の意味と管理方法を絶えず問い直すことが必要であると指摘される。しかし、コミュニティ・アーカイブとは、そもそもいかなる人々や団体がいかに関与する場であり、その場に取り入れるべき「多様な観点」とはどのようなものであるのだろうか。本発表では、福島県大沼郡金山町のコミュニティ・アーカイブ事業〈かねやま「村の肖像」プロジェクト〉を例に、地域を対象としたコミュニティ・アーカイブに関わる人々や団体の具体的なあり方を活動場面ごとに整理し、そこに取り入れられるべき「多様な観点」について検討する。
著者
榎本 千賀子
出版者
新潟大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

新潟県南魚沼市六日町の今成家の写真実践の事例分析を中心としながら、日本における明治初頭の写真受容を、歌舞伎や浮世絵、黄表紙などの庶民文化との関連性と、写真以外への領域への社会・文化的影響に注目しつつ分析した。今成家の事例から、先行する西洋由来の視覚装置への受容を引き継いで生まれた「心を写す写真」や、「声・動きを写す写真」という写真をめぐる定型的イメージを発見し、それらが明治初頭の日本における遊戯的な文化領域に広く共有されていたことを示した。また、「心を写す写真」が文学の近代化に与えた影響と、「声・動きを写す写真」が蓄音機や活動写真などの後続メディアの受容に与えた影響を指摘した。