著者
伊藤 拓弥 榮澤 純二 矢野 宣和 松英 恵吾 内藤 健司
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.221-225, 2010
被引用文献数
4

本研究では, iPhoneにて樹高測定を行うためのソフトウェアを開発した。iPhoneをはじめとするスマートフォンは加速度センサを搭載した機種があり, デバイスの傾きを測定することができる。この加速度センサを使い三角法の原理を応用することで, iPhoneにて樹高測定が可能である。またiPhoneは優れたユーザインタフェースを有するため, 測定データの保存管理, 編集, 集計, 表示ができる。この機能を利用することで, 内業を行うことなく測定データを測定直後の現場にて即座に集計, 表示させることが可能である。またiPhoneは携帯電話回線や無線LANによって測定データを転送することができる。これらの機能によって森林調査の作業効率を大幅に向上させることができると考えられる。
著者
石栗 太 榮澤 純二 齊藤 康乃 飯塚 和也 横田 信三 吉澤 伸夫
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.383-388, 2006 (Released:2006-11-28)
参考文献数
14
被引用文献数
4 4

小径丸太の土木資材への有効利用のために,異なる樹齢と地上高から採取された同程度の直径を持つヒノキ材の木材性質(丸太の気乾密度,ピロディン打込み深さ,年輪幅,容積密度及び縦圧縮強さ)を調べた。試料には,16年生林分の間伐材の地上高1.2 m部位から採取した丸太と64年生林分の主伐時に発生した地上高約18 m以上の林地残材から採取した丸太を使用した。16年生の丸太は,64年生の丸太の約 1/2 の年輪数から構成されていた。容積密度の平均値は,16年生と64年生でそれぞれ,0.39及び0.51 g/cm3 を示し,64年生の方が高い値を示した。16年生及び64年生ともに,ピロディン打込み深さと辺縁部の容積密度との間に負の相関関係が認められた。縦圧縮強さは,いずれの部位においても,16年生の試料と比較して64年生の試料の方が大きい値を示した。これらの結果から,強度が要求される土木資材等への利用にあたっては,同程度の直径であっても,樹齢や採取位置が異なると強度特性が大きく異なることに留意する必要がある。