- 著者
-
樋口 綾香
- 出版者
- 大阪教育大学
- 雑誌
- 奨励研究
- 巻号頁・発行日
- 2016
学校図書館を広く活用し、児童の読解力・表現力を向上させることのできる授業を研究するにあたり、児童の主体性を引き出すことのできる「ブックトーク」「ビブリオバトル」「ライティングワークショップ」という3つの読書活のカリキュラム化の有効性と可能性について研究したものである。1. 研究の概要(1) 「ブックトーク」「ビブリオバトル」小学生の各学年の発達段階においてどのように取り組ませることが有効かを検討するため、教材文を学習する前や後に2つの活動を取り入れた。発達段階における適切な指導法、ルール設定などを児童のワークシートや対話から考察する。(2) 「ライティングワークショップ」書くことへの苦手意識を取り除き、楽しんで書くことを継続できるように年間を通して「ライティングワークショップ」に取り組ませる。児童のアンケート調査からカリキュラム化の可能性を探る。2. 研究の結果(1) 「ブックトーク」「ビブリオバトル」教材を学習したあとに取り組む場合は、授業で獲得した知識を活用し主体的に活動に取り組むことができた。教材を読む前の場合は、例えば「やまなし」を学習する前に、宮沢賢治の本のブックトークをした6年生では「やまなし」を読んだときに「あの作品と似ているところがある」や「賢治が伝えたいことは変わっていない」など、作品と作品を結び付けて考える力がついていた。さらに、よい本と巡り合えないと、よいブックトークやビブリオバトルができないことから、多くの本に出会おうとする児童の姿が見られた。(2) 「ライティングワークショップ」3年生、4年生、6年生で実践を行った結果、すべての児童が一人一冊本を発行することができた。原稿用紙を絵本型・文庫型・幼年童話型など工夫することで、どの子も進んで書くことができていた。また、書いた作品を教室の後ろに並べることで、作者と読者が本を介してコミュニケーションをとる姿も見られた。