著者
岩上 裕吉 上堂 文也 松浦 倫子 庄司 絢香 三宅 宗彰 松枝 克典 井上 貴裕 脇 幸太郎 中平 博子 七條 智聖 前川 聡 金坂 卓 竹内 洋司 東野 晃治 石原 立 北村 昌紀
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.584-592, 2020-05-24

●「考える内視鏡診断」のポイント・SMT様の隆起性病変の診断では,まず大きさ,表面の弧の形状,隆起の立ち上がりの性状から主座を推測する.さらに,病変の部位,個数,隆起の形状,陥凹の有無と性状に着目し鑑別診断を行う.・EUSでは,病変の局在(非腫瘍胃壁構造との連続性),辺縁性状,内部エコー像を観察する.・NETは発赤や陥凹など上皮に変化を伴うことが多く,大きなものは不整形で陥凹を伴うことが多い.黄色調,表面に血管拡張を伴うことがある.EUSで第2層に連続する低エコー腫瘤として観察される.・GISTは球形で丈が高く,頂部に深い円形の潰瘍を伴うことがある.第4層に連続する低エコー腫瘤として観察される.・転移性胃癌は多発し,丈が低く陥凹を伴うことが多い.・組織診断のため,狙撃生検やボーリング生検,EUS-FNAを試み,診断困難であれば内視鏡的切除も考慮する.
著者
小川 渉 荒木 栄一 石垣 泰 廣田 勇士 前川 聡 山内 敏正 依藤 亨 片桐 秀樹
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.561-568, 2021-11-30 (Released:2021-11-30)
参考文献数
31

本報告ではインスリン抵抗症の新たな疾患分類と診断基準を提唱する.インスリン抵抗症は,インスリン受容体またはその情報伝達に関わる分子の機能障害により高度のインスリン作用低下を呈する疾患と定義し,遺伝子異常によって起こる遺伝的インスリン抵抗症と,インスリン受容体に対する自己抗体によって起こるB型インスリン抵抗症の2型に分類する.遺伝的インスリン抵抗症にはインスリン受容体遺伝子異常によるA型インスリン抵抗症やDonohue/Rabson-Mendenhall症候群,PI3キナーゼ調節サブユニット遺伝子異常によるSHORT症候群,AktやTBC1D4の遺伝子異常などによるものに加え,原因遺伝子が未同定のものも含む.B型インスリン抵抗症は,インスリン受容体に対する自己抗体により高度のインスリン作用低下を呈する疾患と定義され,受容体刺激性抗体によって低血糖のみを示す例はB型インスリン抵抗症には含めない.
著者
松浦 倫子 石原 立 河野 光泰 嶋本 有策 福田 弘武 岩上 裕吉 中平 博子 七條 智聖 前川 聡 金坂 卓 竹内 洋司 東野 晃治 上堂 文也 北村 昌紀 中塚 伸一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.501-512, 2020-05-24

●「考える内視鏡診断」のポイント・食道表在癌の治療方針を決定するためには,拾い上げ診断,範囲診断,深達度診断が重要である.範囲診断にはNBI観察,ヨード染色が有用である.深達度診断には,通常観察,拡大観察,さらにEUSを行い診断する.・特殊型食道癌は頻度が極めて少なく,まずは食道扁平上皮癌の典型的な拾い上げ,診断を行い,その特徴に合致しない病変に特殊型を疑うという診断体系が肝要である.・特殊型食道癌を疑う通常内視鏡像として,隆起を主体とし,上皮下発育を呈する場合が多いこと,特徴的な色調・表面性状を呈する病変が多いことが挙げられる.
著者
久米 真司 古家 大祐 前川 聡
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.8, pp.2074-2081, 2013-08-10 (Released:2014-08-10)
参考文献数
15

加齢と共に多くの臓器で機能障害が出現する.腎臓も例外ではなく,多くの人で加齢と共に腎機能低下が生じる.加齢の要素単独で末期腎不全へ進行することは稀であるが,加齢に伴う腎機能障害は,生活の質の低下や医療介入の制約を生み出す.現在わが国では,栄養状態の改善ならびに医療技術の発展により寿命が大幅に延長しているが,一方で,このような健康寿命を如何に保証するかという新たな課題に直面している.この課題に対する数多くの研究成果として,加齢に伴う腎機能障害に関わる分子機構が徐々に明らかにされつつある.高血圧や糖尿病などの臨床的要素に加え,近年,angiotensin IIや酸化ストレス,Klotho,Sirt1,オートファジーといった腎局所の分子機構が腎老化と関連するという興味深い知見が得られている.本稿では,これら老化関連分子と腎老化との関わり,その治療標的としての可能性や問題点を概説させていただく.
著者
白川 洋一 前川 聡一 西山 隆 岡 宏保 馬越 健介 菊地 聡 大坪 里織
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.8, pp.288-296, 2004-08-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
7
被引用文献数
2

病院常駐型ドクターヘリが全国7箇所に配備されたが,多くの地域は消防防災ヘリコプターを救急搬送に兼用している。しかし,防災ヘリを用いるピックアップ型ドクターヘリには運用上の問題点が多い。その解決策を模索するため,愛媛県の山間部を管轄する一消防本部(上浮穴消防本部)を対象に,ピックアップ型ドクターヘリの需要および運用条件を詳細に調査した。調査地域(人口15,849名)における2年間(2000~2001年)の搬送1,249件のうち,CPAを除く昼間帯の重症者229例(1年間1万人当り72.2例)を潜在的ヘリ適応とした。域内を44地区に分割し,各地区ごとに事案発生から松山市の高次病院までの陸上搬送時間(走行時間の合計)と,ピックアップ型ドクターヘリによる搬送の推定所要時間を比較した。そのさい,防災ヘリの遅い出足を考慮して,現地消防がヘリ出動を要請するタイミングを(1)覚知時点,(2)救急隊の現着時点,(3)地元医療機関への収容時点の三つと仮定し,それぞれにつき,各地区ごとに最適化された経路を設定した。ヘリ適応例のうち,陸上搬送とヘリ搬送の時間差が20分以上40分未満は,覚知時要請で17.0例(1年間1万人当り,以下同じ),現着時要請で6.3例あった。40分以上は,覚知時要請で9.5例,現着時要請で0.9例あった。地元医療機関収容後にヘリ出動を要請すると,陸上搬送より長くかかる場合が多かった。病院到着までの時間短縮だけが医師の搭乗した救急ヘリ搬送の利点ではないが,その効果を期待できなければ,防災ヘリをピックアップ型ドクターヘリとして利用する動機は弱まる。その解決策は早い要請(119番覚知時にヘリの準備を要請する第一報を送り,現場に到着した救急救命士が患者観察後に続報する)であり,メディカルコントロール体制を基盤にして,簡明なヘリ要請ガイドラインなどシステム整備が不可欠である。
著者
前川 聡子
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.267-282, 2013 (Released:2021-10-26)
参考文献数
32

本稿では,研究開発支援政策として,試験研究費に係る税額控除拡大と法人税率引き下げのどちらの方が効果的なのかについて,1980~2009年の資本金階級別のデータを用いて実証分析を行った。その結果,税額控除は期待されるような効果を持たず,税率引き下げの方が研究開発増加に対して有意に影響を及ぼすことが明らかとなった。ただし,資本金100億円以上の巨大企業については,税率も税額控除も研究開発費に対して有意な影響を与えず,むしろ負債比率が研究開発に有意な影響を持っていることが示唆された。
著者
林 葵 佐藤 大介 大角 誠一郎 辻 明紀子 西村 公宏 関根 理 森野 勝太郎 卯木 智 前川 聡
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.132-138, 2020-03-30 (Released:2020-03-30)
参考文献数
29

症例は27歳,女性.産後7日目から食思不振と全身倦怠感が出現し,産後25日目に意識障害を認めたため救急搬送され,糖尿病性ケトアシドーシス(以下DKAと略す)と高アンモニア血症のため緊急入院となった.DKAの改善後も見当識障害と高アンモニア血症は遷延した.先天性代謝異常の既往や家族歴はないが血中アミノ酸分画を測定したところ血中シトルリン低値であり,尿素サイクル異常症が示唆された.亜鉛欠乏(49 μg/dL)に対して亜鉛補充を開始したところ,高アンモニア血症と血中シトルリンは正常化し,見当識障害は改善した.以上の経過から,亜鉛欠乏による一過性のオルニチントランスカルバミラーゼ活性低下から高アンモニア血症を来したと推察された.本例のような長期の食思不振から低栄養状態が疑われる場合には,亜鉛欠乏に伴う一過性高アンモニア血症も鑑別に挙げる必要があると考えられる.
著者
小林 裕史 前川 聡 浦久保 孝光 玉置 久
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会 研究発表講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.6, pp.16, 2006

本講演では,球体内部に搭載したジャイロの角運動量を制御することによって駆動トルクを発生・制御する構造の球体ロボットについて,球体ロボット本体および操縦インタフェースの設計・製作,シミュレーションおよび実機実験による性能評価結果を報告する.また,実機におけるニューテーションや外乱の影響についても考察・検討する.
著者
東梅 貞義 佐藤 哲 前川 聡 花輪 伸一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.102-105, 2002-11-15

渡り鳥とその生息地の保全は、比較的長い国際的な歴史を持つ。本報告では渡り鳥の中でもっとも長距離の渡りを行う鳥類グループのひとつであるシギ・チドリ類の保全をケーススタディとして取り上げ、地球規模の環境問題解決の視点と地域レベルで取り組む視点の現状と保全を推進するために必要な条件の検証を行う。1995年にアジア太平洋地域渡り性水鳥保全戦略が提唱され、96年に東アジアオーストラリア地域シギ・チドリ類重要生息地ネットワークが新たな国際的渡り鳥保全の枠組みとして発足した。日豪政府とNGOである国際湿地保全連合(WI)が中心となり、発足当時から日本国内の研究者、政府機関、環境NGOの幅広い参加と支持を得てこれまで実施されてきた。シギ・チドリ類は、多国間にわたる広大な範囲の生息地を必要とし、特定の時期に特定の地域の生息地を利用する必要がある。例えばホウロクシギ(全長63cm)は3月中旬にオーストラリアを出発し、3、4月に中継地の日本などの干潟に渡来し休息と採食を行い、5月には繁殖地のロシア極東部に到達する。繁殖終了後の秋期になると、非繁殖期(越冬期)を過ごすため日本などを経由しながら南半球へと渡り、年間往復2万5千キロを超す長距離を移動する。
著者
樋口 綾 諾 明 マルコン シャンドル 前川 聡
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2012-HCI-147, no.23, pp.1-7, 2012-03-14

新しい光学素子 「2 面コーナーリフレクターアレイ」 (DCRA) により、物体や映像の歪みのない実像を空中投影できる。この様な空中映像に触れる時、指位置の検出により新しいインタラクションが可能となる。しかし、空中映像に触れても触覚へのフィードバックがなく、不自然な感覚を抱いてしまう。我々はこの問題を解決するため、空気ジェットによる触覚刺激装置を開発した。発表では、空中での触覚刺激実験について報告する。
著者
山崎 丈史 東 昌輝 マルコン シャンドル 前川 聡
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2012-HCI-147, no.22, pp.1-4, 2012-03-14

The new optical device ‘DCRA’ can display floating images in free air1). The images are undistorted and can be observed at close range from different angles, thus they are suitable for hands-on interaction. However, the current device allows only small images and movement of objects can be difficult to recognize. It is known that combining sound with vision can enhance position sensing. We have investigated ways to place aerial sound sources inside the floating images, and developed a system using parametric speakers as a virtual aerial sound source. Our tests confirm that human position recognition is effective with this system.
著者
小林 裕史 前川 聡 浦久保 孝光 玉置 久
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会 研究発表講演会講演論文集 第50回システム制御情報学会研究発表講演会
巻号頁・発行日
pp.16, 2006 (Released:2006-12-01)

本講演では,球体内部に搭載したジャイロの角運動量を制御することによって駆動トルクを発生・制御する構造の球体ロボットについて,球体ロボット本体および操縦インタフェースの設計・製作,シミュレーションおよび実機実験による性能評価結果を報告する.また,実機におけるニューテーションや外乱の影響についても考察・検討する.
著者
金 ハンヨウル 前川 聡 苗村 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.478, pp.151-156, 2012-03-05

本稿ではミュージアムにおいて展示物に情報を重畳提示する複合現実感展示システムMRsionCaseの改良について報告する.これまでにハーフミラーを用いたシンプルな光学系を実装してきたが,ハーフミラーは虚像による提示になるため,結像の位置制御に限界があった.その制約を解消し,より自由な情報重畳の実現するためには実像で結像された空中像からの情報提示が必要となる.そのため,本稿では凹面鏡と実像鏡を用いたシステムを提案し,複合現実感展示システムとしての有効性を実証する.
著者
浦久保 孝光 門野 守 前川 聡 玉置 久
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.543-549, 2014 (Released:2014-08-15)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

This paper deals with the problem of controlling a spherical rolling robot that has a new driving mechanism equipped with a gyro. The translational motion of the robot is caused by transmission of angular momentum from the gyro to a spherical outer shell of the robot. A feedback controller that makes the robot achieve a straight motion is designed based on the equations of motion for the robot. The effectiveness of the controller is demonstrated by experimental results.
著者
前田 有希 宮崎 大介 前川 聡
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, no.22, pp.37-40, 2011-06-09

2面コーナーリフレクタアレイによる結像作用を利用し,さらに屈折素子であるプリズムシートによって走査を行う体積走査型ディスプレイを開発した.プリズムシートの回転による光線走査は機械的負荷が小さく,表示像の大型化を容易にする.2面コーナーリフレクタアレイにより3次元画像は空中に表示される.我々はプロトタイプを作成し,5[cm]×5[cm]×5[cm]の大きさの3次元画像を表示することができた.
著者
有本 隆彦 前川 聡 藤原 義久 小谷 学
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.736, pp.159-166, 2002-03-12

前腕皮膚表面上に16チャンネルの電極を4x4のアレイ状に配置し,薬指の等尺性収縮時における双極誘導表面筋電図の計測を行った.各チャンネルの信号が,複数の運動単位を信号源とする筋電位の時空間的な重ね合わせであるという仮定にもとづき,多チャンネルブラインドデコンボリューション法を適用した.その結果,複数の運動単位を推定した.推定された運動単位に対して,出力される際に通されるフィルタのインパルス応答や,発火間隔の分布を調べ,生理学的知見と整合的であることを確かめた.