著者
中尾 充宏 吉川 敦 横山 和弘
出版者
九州大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

研究分担者がそれぞれの分担課題に関して恒常的に検討を続け、以下のような研究実績を得た。1.中尾は、前年度に引き続き非線形楕円型境界値問題および定常Navier-Stokes方程式の解に対する数値的検証法の改良・拡張について検討し、特に本年度は、以下の成果を得た。(1)楕円型方程式の検証に関して、double turning pointの検証法を定式化し具体例を与えた。 (2)非凸領域上の定常Navier-Stokes方程式で記述されるStep-flow問題に対してその解の精度保証付きで計算することに成功した。 (3)特異随伴作用素をもつ楕円型問題に対する有限要素解の構成的なL-2誤差評価について、Aubin-Nitscheの技巧を用いない計算機援用的方法により数値的に評価する知見を得た。 (4)空間3次元熱対流問題の精度保証に関して、新たな分岐解の検証定式化とその実例を与えた。2.吉川は、ソボレフ空間の計算可能構造について、数値解析における有限要素法との関連を見込むために、ソボレフ関数の近似と近似の評価の管理を帰納的関数により行う手法について知見を得た。3.横山は、制御におけるパラメータ値の決定の最適化問題に対して、記号的代数的手法を適用し、大域的最適値を正確に求めることに成功した。数学研究応用では、逆ガロア問題において数値計算による証明を行い、さらに分解体計算では代数的近似を利用した高速化を実現した。
著者
横山 和弘 竹島 卓
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1_42-1_61, 1988-01-14 (Released:2018-11-05)

A. K. Lenstra, H. W. LenstraとL. Lovaszが格子算法を整数環上の1変数多項式の因数分解アルゴリズムに応用し,計算時間がその多項式の次数に対してその次数の多項式オーダーになることを可能にして以来,格子算法が種々の因数分解アルゴリズムに応用されている.本論文では,A. K. Lenstraによる格子算法の基本的性質を抽出し,Euclid付値環上の因数分解およびGCD計算に格子算法が適用できることを示す.また,ある種の条件の下ではEuclid環上の因数分解へも応用が可能であることを示す.