著者
石津 恵津子 大橋 たみえ 廣瀬 晃子 岩田 幸子 横井 憲二 横田 千鶴 可児 徳子 可児 瑞夫 磯崎 篤則
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.82-88, 2004-11-20
参考文献数
23
被引用文献数
1

本研究では,100ppmF配合歯磨剤を給食後のブラッシングに用いた場合の効果を,フッ化物を配合していない歯磨剤を用いた場合,および効果が確立されているフッ化物洗口法を行った場合と比較した.学校歯科保健活動として,給食後にフッ化物濃度100ppmフッ化ナトリウム配合歯磨剤を用いてブラッシングを行った児童とフッ化物を配合していない歯磨剤を用いてブラッシングを行った児童,およびフッ化物濃度100ppmフッ化ナトリウム溶液を用いてフッ化物洗口を行った児童を対象に,1年生から5年生までの4年間,追跡できた者の第一大臼歯のう蝕発生について比較した.う蝕発生抑制効果は,Cox比例ハザードモデルを用いた生存分析によって評価した.その結果,F歯磨群の累積生存率は,上顎右側以外は対照群に比較して高く,F洗口群の半分程度であった.ハザード比は1以下を示したが,95%CIに1が含まれており,統計的有意性はなかった.しかし,本研究では自宅でのフッ化物配合歯磨剤の使用を規制しておらず,今回のF歯磨群のう蝕発生抑制効果は,学校給食後のブラッシングにフッ化物配合歯磨剤を使用する場合に限定される.よって,この結果は学校で給食後に歯磨きをする場合,フッ化物無配合の歯磨剤を使用するよりもフッ化物配合歯磨剤を使用するほうが,う蝕予防により効果的である可能性を示すものである.