- 著者
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磯崎 篤則
廣瀬 晃子
石津 恵津子
大橋 たみえ
新谷 裕久
- 出版者
- 朝日大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1995
本研究は,フッ化物洗口剤(ミラノール@S1(]CP○(1)R[)を用いたフッ化物洗口法を学校歯科保健プログラムに導入し,6年間のCohort観察からう蝕予防効果と経済効果を検討する目的により実施した。研究対象は,1987年から1989年に小学校に入学し,1993年から1995年3月に卒業した児童785名である。フッ化物洗口を実施した児童は,大規模小学校(A群)212名と中規模小学校(B・C群)315名に分け、対照群(N群)258名と比較検討した。対照群では,小学校でのブラッシングのみでフッ化物洗口法を全く実施していない。成績は,う蝕予防効果をDMFT index,DMFSindex により経年的観察を行い,経済効果はコスト・ベネフィットおよびコスト・エフェクテブネスにより検討した。DMFT index,DMFSindex は,研究開始時1年生では各群間が差なかった。しかし,学年が進むにしたがって,フッ化物洗口の2群と対照群との差が明らかになり,6年生3月には有意の差を認めた。フッ化物洗口の2群のDMFT index,DMFS indexは,類似した傾向を示し,6年生3月の成績も近似した値を認めた。フッ化物洗口法を実施するために必要な費用(フッ化物洗口剤,溶解ビン,洗口カップ)は,1年間1人785円であった。1人1年間の推定歯科治療費は,A群1,877円,B・C群1,861円,N群2,780円であり,コスト・ベネフィット比は1:1.15,1:1.17を示した。コスト・エフェクティブネスは,1歯面を救うために必要な費用で表され,A群3,019円,B・C群2,707円であった。以上のことから,次の結論を得た。臨床的う蝕予防効果は,フッ化物洗口群の小学校の規模にかかわらず,高いう蝕予防効果が認められた。また,フッ化物洗口法によるう蝕予防効果の普遍性を認めた。経済効果は,う蝕予防に投資した費用より歯科治療費が13-15%抑制され,良好であった。また,フッ化物洗口を実施した児童は,痛みや治療の恐怖から解放され,小児にとって有益であることが認められた。フッ化物洗口法は,う蝕予防効果,経済効果が良好であり公衆衛生的に優れた方法であることから,今後学校歯科保健プログラムに広く導入実施する必要性を認めた。