- 著者
-
横田 和浩
- 出版者
- 日本臨床免疫学会
- 雑誌
- 日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.5, pp.367-376, 2017 (Released:2017-12-13)
- 参考文献数
- 50
- 被引用文献数
-
11
20
破骨細胞は,骨髄造血幹細胞由来の単球/マクロファージ系前駆細胞から分化した生体内で骨組織を破壊・吸収することのできる唯一の細胞である.その分化はM-CSF(破骨細胞生存因子)/RANKL(破骨細胞分化誘導因子)シグナリングに依存していると考えられている.しかし,最近,関節リウマチのような全身性自己免疫疾患における慢性炎症病態では,関節局所の豊富な炎症性サイトカインが病的な骨吸収細胞の分化を誘導し,過剰な骨破壊を惹き起している可能性が提起されている.そして,著者らはマウス骨髄単球およびヒトCD14陽性単球を炎症性サイトカインであるTNFα + IL-6で刺激・培養することにより破骨細胞の特徴を呈する骨吸収細胞(破骨細胞様細胞)が分化誘導されることを見出した.本稿では,著者らのデータの一部とともにRANKL非依存性の破骨細胞分化誘導機構について,最新の知見を交えて解説する.今後,RANKL非依存性の破骨細胞分化誘導機構が明らかになり,新たな破骨細胞サブセットが同定されることで,炎症性関節疾患における病態解明と新規治療戦略へと発展していくことが期待される.