著者
和田 琢磨
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.52-62, 2008-03-10

今川了俊著『難太平記』は『太平記』の作者・成立論の基礎資料である。『太平記』作者の有力説には「恵珍」説と「玄恵」説とがあるが、両説の根幹には『難太平記』の六波羅合戦記事がある。本論は、六波羅合戦記事の作中での位置を確認し、了俊の思想や執筆意図を明らかにした上で、了俊は作者を恵鎮であると確認していたであろうことを指摘した。また、「作者は宮方深重の者」という研究史上議論されてきた表現についても私見を述べた。
著者
和田 琢磨
出版者
東洋大学通信教育部
雑誌
東洋通信 (ISSN:18837859)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.15-29, 2017-02
著者
和田 琢磨
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.10-20, 2005-12-10

鎌倉幕府の倒壊を描く『太平記』第一部は、はじめは後醍醐天皇を中心とした公家が武家を倒す物語として語り進められていたのだが、第一部結末では源氏が平家を倒した物語となってしまっている。このねじれた文脈を作者はどのようにしてつなぎ統一感を持たせているのか。本論では、「承久」という語に焦点を当て、公家と武家双方の歴史観とそれに伴う倒幕意義を整理し、両者の眼を作者が如何に汲み取り一筋の歴史叙述としているのかについて考えた。
著者
和田 琢磨
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.15-23, 2003-12-10

最初に『明徳記』末部に置かれた相国寺供養記事の意義を考究し、『明徳記』の主題を構造面から明らかにした。その後、成立環境・作品構造などの点が一致している事から、『明徳記』と『難太平記』から推定される初期形態の『太平記』とが類似していた可能性を指摘し、『梅松論』も合わせた足利将軍家周辺で成った三作品の性格の共通性について言及。その上で、この三作品と現存形態の『太平記』の性格の違いを指摘し、初期形態の『太平記』と現存形態の『太平記』とでは主題が異なっていたであろうという私見を述べた。
著者
匂坂 勝之助 荒木 忠 大和田 琢二 藤川 清三
出版者
北海道大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

プラスチド イニシャル形成と低温度要求性:休眠覚醒後にプラスチド イニシャルの形成が始まるので、休眠覚醒のおこる低温度と覚醒のみられない環境条件下にポプラをおいて比較検討した実験で、休眠覚醒のみられないポプラではプラスチド イニシャルの形成は全く進行しないことがあきらかになった。プラスチド イニシャルは遊離状態で存在すること:ポプラの皮層部から遊離状態のプラスチド イニシャルを得た。プラスチド イニシャルの形成は多年生植物(樹木)で一般的にみられること:ダケカンバ、エゾニワトコ、スグリ、キタコブシ等の皮層細胞に休眠覚醒後にプラスチド イニシャルが存在することを明かにした。草木植物にプラスチド イニシャルが存在することを証明する予備的調査:ジャガイモ魂茎の形成期にアミロプラストの前駆体と思われる構造体の存在することを確かめた。この研究は現在継続中である。プラスチド イニシャル形成は各組織で同時に始まる:リンゴの花芽、葉芽及びシュートの皮層細胞でこのことを明らかにした。成熟プラスチドを経ないプラスチド イニシャルの形成:リンゴの花芽、葉芽及び皮層細胞から成熟プラスチドを経ない新しい形成過程を示す電子顕微鏡像を得た。この実験で、プラスチド イニシャルの形成に小胞体が直接関与していること及び小胞が活発に形成されてプラスチドイニシャルに融合している電顕像を得た。
著者
和田 琢 秋山 雄次 横田 和浩 佐藤 浩二郎 舟久保 ゆう 三村 俊英
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.433-438, 2012 (Released:2012-10-31)
参考文献数
22
被引用文献数
6 28

アバタセプト(ABT)を投与後に肺間質影の増悪がみられた関節リウマチ(RA)の1例について報告する.55歳時にRAおよび間質性肺炎を発症した.間質性肺炎は副腎皮質ステロイド大量療法で改善した.RAは多種の疾患修飾性抗リウマチ薬およびインフリキシマブに対して抵抗性であった.タクロリムス(TAC)が有効であったが難治性の掻痒感と下痢のため中止となった.2ヶ月後,関節炎が増悪したためABTの国内第III相試験に参加した.ABT投与2日目から白色痰が出現.痰培養は陰性であり投与13日後に胸部CTを施行した.2ヶ月前に比して間質影の増悪がみられたため,臨床試験は中止された.関節炎に対しABT投与27日後にプレドニゾロンを2 mg/日から10 mg/日に増量した.ABT投与44日後に胸部CTを再検した結果,間質影は改善傾向を示した.本例の発症機序については,ABTによる間質性肺炎の増悪以外に,TAC中止による間質性肺炎の増悪,RA増悪による間質性肺炎の悪化,ウイルス感染の関与なども考えられた.新規抗リウマチ生物学的製剤であるABT投与後に間質性肺炎が増悪した症例は未だ報告されておらず,これが最初の症例報告である.ABTと間質性肺炎増悪の因果関係は不明であり,このような症例の蓄積が必要であると考える.
著者
大和田 琢二 匂坂 勝之助
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.360-368, 1990-06-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
12
被引用文献数
2
著者
和田 琢磨
出版者
立教大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、西源院本・神田本『太平記』を中心に南北朝時代から室町時代にかけての軍記の成立、本文異同の問題などについて考察することにある。本年度の目標は、公的機関でもマイクロフィルムを披見できない『太平記』や『難太平記』をはじめとする関係作品の基礎調査と、古態本『太平記』の本文の問題について考察することにあった。その成果は以下の三点に大略まとめられる。(1)『太平記』伝本の調査古態本の前田尊経閣蔵相承院本『太平記』を調査し紙焼き写真をとった。この伝本調査も踏まえ、古態本『太平記』の研究、本文の校合・調査を進めている。また、古態本ではないが、永青文庫蔵の絵入り『太平記』を一部調査した。この伝本の調査は今後も続けていく予定である。(2)『難太平記』ほか他作品の調査『太平記』の成立過程について具体的に語っている、室町時代初期の唯一の資料である『難太平記』の調査を行った。その過程で、新出伝本を発見した。この伝本についての報告は、次年度にする予定である。本年度は、香川県の多和文庫や長崎県の島原松平文庫にも調査に行き、軍記や中世の作品の原本を調査し、写真に撮った。中には、軍記の享受の問題を考える上で興味深い資料もあり、この資料についても報告する予定である。(3)阪本龍門文庫蔵豪精本『太平記』の調査興味深い伝本であるといわれながら、その内容が知られていない豪精本『太平記』の調査を行った。この調査は今年で6年目になるが、今後も継続していく予定である。