著者
紀伊 雅敦 横田 彩加 高 震宇 中村 一樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_507-I_515, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
9
被引用文献数
6

本研究は共有型完全自動運転(LV5)車両の普及モデルを構築し,車両価格,都市半径,人口,走行速度が普及に与える影響を分析した.その結果,1) 共有型LV5車両は,個人所有の従来型車両の10倍以上の費用でも普及しうること,2) 普及には車両費用のみならず,都市半径と走行速度も影響し,都市半径が小さく,走行速度が高いほど普及率が高まること,3) 都市人口は普及率に影響しないこと,4) 車両費用が高くても半径の小さいコンパクトな都市では普及率が高くなりうることが示された.以上より,システム価格の高い初期段階では,空間的にコンパクトな小都市やエリア限定での導入が普及率を高める上で効果的であり,車両費用の低下に応じた大都市への展開やサービスエリアの拡大が,普及率の向上には効率的なことが示唆された.