著者
中村 一樹 森 文香 森田 紘圭 紀伊 雅敦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_683-I_692, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
21

近年,道路整備の方針は歩行者中心の多機能な空間整備へと転換が求められているが,従来の歩行空間整備は個別の機能に注目しており,多機能性を包括的に評価する手法が確立されていない.そこで本研究では,歩行空間の機能別のデザインが包括的な知覚的評価に与える影響を特定することを目的とする.まず,歩行空間整備のガイドラインをレビューして,多様なデザイン要素を機能別に整理した.そして,全国の整備事例のデザイン要素の水準を指標化し,道路タイプごとにデザイン要素の特徴を類型化した.最後に,各機能のデザインの知覚的評価のアンケート調査を行い,その意識構造について共分散構造分析を行った.この結果,歩行者は歩行空間デザインの機能に階層的なニーズを持ち,これを考慮した機能間のデザインの組合せが重要であることが示された.
著者
永江 大右 中村 太一 紀伊 雅敦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_505-I_512, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
23
被引用文献数
1

都心は都市活動が集中する場所であり,都市構造や交通需要を分析する上で把握するうえで重要なエリアである.しかし,都心の把握方法は必ずしも確立しておらず,多くの場合大規模な交通調査を基に経験的に設定されている.しかし,大規模交通調査の高頻度な実施は困難であり,特に都市構造の変化が著しい途上国では,簡便な都心の把握方法が必要である.本研究では,人工衛星により観測される夜間光に基づく都心抽出の可能性を検討する.具体的には,日本の3大都市圏を対象に,集中交通量に基づき都心ゾーンを定義し,夜間光データによる判別を行った.その結果,夜間光データに一定の都心判別性能があることが示された.また郊外核を抽出できる可能性が示された.
著者
田中 皓介 稲垣 具志 岩田 圭佑 大西 正光 神田 佑亮 紀伊 雅敦 栗原 剛 小池 淳司 佐々木 邦明 佐々木 葉 Schmöcker Jan-Dirk 白水 靖郎 泊 尚志 兵藤 哲朗 藤井 聡 藤原 章正 松田 曜子 松永 千晶 松本 浩和 吉田 樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.129-140, 2021 (Released:2021-06-20)
参考文献数
20
被引用文献数
2

本稿ではCOVID-19の蔓延および政府からの社会経済活動自粛要請に伴う,人々の意識行動への影響を把握することを目的にWebアンケート調査を行った.その結果,感染・死亡リスクを,現実の数倍~数千倍過大に評価している様子が明らかとなった.また,接触感染対策として効果的な「目鼻口を触らない」の徹底度合いが他の対策に比べて低く,周知活動の問題点を指摘した.さらに,緊急事態宣言に対する65%以上の支持率や,「家にいる」ことについて,「ストレス」を感じる以上に「楽しい」と感じる人が多いこと,行動決定のために参考にするのはキャスターや評論家や政治家よりも「専門家の意見」の影響が大きいことなどが明らかとなった.
著者
紀伊 雅敦 横田 彩加 高 震宇 中村 一樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_507-I_515, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
9
被引用文献数
6

本研究は共有型完全自動運転(LV5)車両の普及モデルを構築し,車両価格,都市半径,人口,走行速度が普及に与える影響を分析した.その結果,1) 共有型LV5車両は,個人所有の従来型車両の10倍以上の費用でも普及しうること,2) 普及には車両費用のみならず,都市半径と走行速度も影響し,都市半径が小さく,走行速度が高いほど普及率が高まること,3) 都市人口は普及率に影響しないこと,4) 車両費用が高くても半径の小さいコンパクトな都市では普及率が高くなりうることが示された.以上より,システム価格の高い初期段階では,空間的にコンパクトな小都市やエリア限定での導入が普及率を高める上で効果的であり,車両費用の低下に応じた大都市への展開やサービスエリアの拡大が,普及率の向上には効率的なことが示唆された.