著者
横田 篤 石塚 敏
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

大腸癌のリスク因子として大腸内に生成される発がん性二次胆汁酸が知られている.本研究では,腸内細菌による胆汁酸の還元的代謝により生成される発がん性二次胆汁酸を低減させる新しい手法として,腸内細菌の嫌気呼吸を促進させ,胆汁酸の酸化的代謝を活性化させることを試みた.そこでラットにフマル酸を添加した飼料を摂取させ,盲腸内の嫌気呼吸の誘導を試みたところ,代表的な発がん性二次胆汁酸であるデオキシコール酸の低減可能性は示された.しかし,5~10%と高濃度のフマル酸添加必要であり,この濃度ではラットが下痢を起こすことから、実用的な抑制にはフマル酸のカプセル化等,添加方法の検討が必要である.
著者
横田 篤
出版者
日本乳酸菌学会
雑誌
日本乳酸菌学会誌 (ISSN:1343327X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.87-94, 2010 (Released:2012-04-01)
参考文献数
39

胆汁酸ストレスはプロバイオティクスとして投与された乳酸菌やビフィズス菌が体験する最も強力な消化管内ストレスであると言っても過言ではない。近年の機能ゲノム学的な解析により、これらの細菌の胆汁酸ストレス応答の全体像は、一段と明確になりつつある。本稿ではこれらの知見を概観し、それらの中でも特に重要となる細胞膜に対する胆汁酸の作用と細菌側の応答を中心に解説した。