著者
葉佐井 博巳 星 正治 横路 謙次郎
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
Journal of Radiation Research (ISSN:04493060)
巻号頁・発行日
vol.32, no.SUPPLEMENT, pp.32-39, 1991 (Released:2006-05-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1 1

Three studies of fallout measurements were reviewed for the discussion of possible radioactivity intake from the Hiroshima atomic bomb. The first study discussed correlations between enriched 234U and 137Cs specific activities from the measurement of soil samples collected in the “black rain” area. The second study measured 137Cs activity on the rock and roof tile samples collected in the hypocenter area immediately after the explosion. Some of the rock and roof tile samples collected near the hypocenter had a small but detectable amount of 137Cs activity. However, it has been determined that 137Cs exposure, for example, was negligible compared with DS86 dose estimates, since these activity levels were low. The third study detected 90Sr activity in some of the specimens of human bones exhumed on Ninoshima Island. This study compared the difference in activity between the bone head and shaft, with higher activities obtained in the bone head. This fact suggests a short intake period for this activity, however, the levels of 90Sr contamination were too low to allow a discussion of the exposure risks.
著者
坂本 澄彦 堀内 淳一 大川 智彦 横路 謙次郎 細川 真澄男 小林 博
出版者
東北大学
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1989

低線量の放射線の腫瘍制御に果たす役割について研究を続けているが、今年は基礎的研究として、15ラドの全身照射を行なったマウスに対し尾静脈から腫瘍細胞を注入した場合に、肺に造る腫瘍細胞のコロニーが出来る割合が、照射をしなかったマウスの場合とどう異るのかについて更に詳細な検討を加えた。先ず肺に造るコロニーは10ラドの照射より15ラドの照射を受けたマウスの方が形成率が低いこと、更に15ラドの全身照射と局所照射の組合せが腫瘍の局所制御率が高まることを確認した。一方放射線照射による腫瘍関連抗原のshedding抑制とその意味する所についての研究が行なわれ、放射線照射による抗腫瘍免疫誘導の機序としてTAAの存在様式の変化が関与している可能性を示し、このような現象が生ずるのには30Gyという至適線量が存在することがわかった。又腫瘍誘発に対する低線量域での放射線の線量と線量の効果についての研究も進められているが、この研究の結論を得るのはもっと先の事になると思われる。臨床的研究としては、昨年に引続き全身或は半身照射のみの効果を調べるため進展例の悪性リンパ腫に対する効果を検討した。結果は45例の悪性リンパ腫の患者のうち1例は他病死したが残りの44例は、現在、再発の徴候なしに生存している。その生存期間は6ケ月から44ケ月の間に分布しており、現在もどんどん治療例が増えているので、近い将来に、統計的解析を行なって治療成績の正しい評価が下せるようになると考えている。又、肺癌、子宮癌、食道癌などの固形腫瘍に対する全身又は半身照射と局所照射の組合せによる治療も開始しているが、この研究は次年度に更に積極的に推進する予定である。