著者
西條 辰義 西村 直子 広田 真一 樽井 礼 七條 達弘 草川 孝夫 瀋 俊毅
出版者
高知工科大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

市場班では,実験により市場が理論どおり機能しないことを明らかにしている.たとえば,排出権取引において,投資の不確実性,投資のタイムラグがあると,効率性は達成できない.また,コメ市場においても,制度設計の失敗により,取引量が減少してしまうことを確認している.さらには,ノイズ・トレイダーによるバブル発生のメカニズムも明らかにしている.一方で,市場を公共財として捉え,そのような公共財が効率的に供給できる新たな仕組みのデザインに成功している.
著者
安武 妙子 渡部 幹 樽井 礼 Taeko YASUTAKE Motoki WATABE Nori TARUI
出版者
創価大学経済学会
雑誌
創価経済論集 (ISSN:03883027)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.79-87, 2017-03-31

日本の株式市場では株主優待(自社製品の提供や割引、株主特典など、モノやサービスによる株主還元)を行う企業が多いものの、欧米では同様の非現金による株主還元はあまり一般的ではない。本研究での仮想投資実験においては、日米ともに株主優待が投資判断の際重要な役割を果たすことが明らかになった。但し、株主優待への選好度は日本の方が高く、各市場や投資家の文化的背景なども影響を及ぼす可能性があることが示唆された。また、換金性の高いギフトカードの優待と、モノやサービスと言った優待では、投資判断に与える影響に大きな差異は観察されなかった。このことは投資家が必ずしも現金、または現金に近いもののみを株式リターンの一部として認識しているわけではなく、モノやサービスといった株主優待ならではのリターンも現金と同様に評価している可能性も示唆する。