著者
品川 佳満 橋本 勇人
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.311-319, 2013 (Released:2014-12-19)
参考文献数
13

本研究は,電子媒体(インターネットを含む)が関係した医療機関における患者の個人情報に関する事故の現状を明らかにすることを目的とした.そのため,2008年から2012年に報道・公表された事故について,情報セキュリティサイトや新聞記事データベースから記事を収集し分析した.結果として,186件の報道記事等が収集され,その内容から以下の現状が明らかになった. 1) 事故の起きた媒体は,USBメモリが47.0%ともっとも多かった. 2) 原因は,紛失と盗難で84.4%と大半を占めていた. 3) 事故は,院外・院内のあらゆる場所で発生し,媒体の院外への持ち出し理由は主に「研究・学習」,「業務継続」であった. 4) 医師を中心に,退職者を含むすべての職種が事故を起こしていた. 5) 漏えい(流出)につながっていた事故は10.8%と少ないが,媒体の19.0%にしかセキュリティが施されていなかった. 6) 病名が含まれていたケース,100人以上の個人情報が含まれていたケースが半数以上あった. 7) 47.3%の事故で病院のルールに対する違反が確認された.
著者
橋本 勇人 藤澤 智子 井頭 昭子 土田 耕司 渡邉 賢二
出版者
鈴鹿医療科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は2つある.1つは,ソーシャルワーク(以下SW)教育の構造を,(1)体験の部分,(2)SWとケアワーク(以下CW)の共通部分,(3)SWの入門の部分,(4)専門のSWの部分からなるという仮説を基に,(2)と(3)で学んだことを明らかにすることである。この場合,CWには介護福祉士だけではなく,保育士も含む。2つは,満足できたSWの実習に影響を与えたものを明らかにすることである.そのため,524名を対象とした質問紙調査と13名を対象としたインタビュー調査を実施した.質問紙調査では,a.社会福祉士養成課程のみの修了者,b.介護福祉士養成課程のみの修了者,c.保育士養成課程のみの修了者,d.介護福祉士養成課程と社会福祉士養成課程の修了者,e.保育士養成課程と社会福祉士養成課程の修了者の5群に分けて分析した.第1研究についての結果は,次の通りである.(2)に関しては,「コミュニケーションの取り方」など10項目はa,b,c間で平均得点の差がなかった.(3)に関しては,「社会資源の活用」など9項目はaの方がb,cより平均得点が高かった.CWの中でも,「専門職としての倫理」など3項目では,cよりbの平均得点の方が高かった.aとbにSW養成を付加したd,cにSW養成を付加したeの3群間を比較したところ,cのいくつかの短所は,克服されないことが分かった.インタビュー調査では,cのいくつかの短所は,幾分か克服される傾向があることが分かった.第2研究についての結果は,次の通りである.満足できるSW実習に影響を与えているのは,いくつかの実習内容とスーパービジョンである.スーパービジョンのうち,直接影響を与えているのは,実習指導者のスーパービジョンである.大学の担当教員のスーパービジョンは,実習指導者のスーパービジョンに影響を与えることによって,間接的に影響を与えている可能性があった.