著者
橋本 勇人 藤澤 智子 井頭 昭子 土田 耕司 渡邉 賢二
出版者
鈴鹿医療科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は2つある.1つは,ソーシャルワーク(以下SW)教育の構造を,(1)体験の部分,(2)SWとケアワーク(以下CW)の共通部分,(3)SWの入門の部分,(4)専門のSWの部分からなるという仮説を基に,(2)と(3)で学んだことを明らかにすることである。この場合,CWには介護福祉士だけではなく,保育士も含む。2つは,満足できたSWの実習に影響を与えたものを明らかにすることである.そのため,524名を対象とした質問紙調査と13名を対象としたインタビュー調査を実施した.質問紙調査では,a.社会福祉士養成課程のみの修了者,b.介護福祉士養成課程のみの修了者,c.保育士養成課程のみの修了者,d.介護福祉士養成課程と社会福祉士養成課程の修了者,e.保育士養成課程と社会福祉士養成課程の修了者の5群に分けて分析した.第1研究についての結果は,次の通りである.(2)に関しては,「コミュニケーションの取り方」など10項目はa,b,c間で平均得点の差がなかった.(3)に関しては,「社会資源の活用」など9項目はaの方がb,cより平均得点が高かった.CWの中でも,「専門職としての倫理」など3項目では,cよりbの平均得点の方が高かった.aとbにSW養成を付加したd,cにSW養成を付加したeの3群間を比較したところ,cのいくつかの短所は,克服されないことが分かった.インタビュー調査では,cのいくつかの短所は,幾分か克服される傾向があることが分かった.第2研究についての結果は,次の通りである.満足できるSW実習に影響を与えているのは,いくつかの実習内容とスーパービジョンである.スーパービジョンのうち,直接影響を与えているのは,実習指導者のスーパービジョンである.大学の担当教員のスーパービジョンは,実習指導者のスーパービジョンに影響を与えることによって,間接的に影響を与えている可能性があった.