著者
日比野 靖 橋本 弘一
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.554-559, 1995
参考文献数
14
被引用文献数
8

本研究の目的は強化型グラスアイオノマーセメントの諸性質を測定し, 従来型のグラスアイオノマーセメントと比較検討を行うことである. 強化型グラスアイオノマーセメント (Fuji DUET) と従来型のグラスアイオノマーセメント (Fuji I) を本研究に使用した. 各セメントの練和はメーカー指定の粉液比にて行った.稠度, 硬化時間, 被膜厚さ, 圧縮強さならびに崩壊率をADA規格No.8に準じて測定を行った. また, 操作時間の測定もあわせて行った. 接着強さならびに接触角の測定は従来から行ってきた方法により測定した. その結果, 強化型グラスアイオノマーセメントの稠度, 硬化時間, 操作時間ならびに圧縮強さは従来型と比較して小さい結果を示した. 被膜厚さならびに崩壊率については従来型と差が認められなかった. 強化型グラスアイオノマーセメントの各被着体に対する接触角はチタンを除いて従来型と比較して有意に大きな結果を示した. 強化型グラスアイオノマーセメントの各被着体に対する接着強さはAu-Ag-Cu合金を除いて従来型と差が認められなかった.<br> 以上のことから, 強化型グラスアイオノマーセメントは稠度, 操作時間ならびに圧縮強さが小さいものの, 従来型と比較してその諸性質に懸念される問題はないことが示唆された.
著者
長山 克也 橋本 弘一 矢部 慶昭 山中 一郎
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械. Special issue, 日本歯科理工学会学術講演会講演集 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.7, no.11, pp.107-108, 1988-03-31

硬質レジン前装冠の臨床応用に際し, リテンションビーズなどの機械的維持装置を付与しないで金属とレジンを接着させることにより, 歯質削除量の減少, 辺縁部の良好な封鎖性, 色調表現の容易さなどを得ることを目的として種々の金属表面処理を行い検討を加えた結果についてはすでに第5, 6回の本学会で報告した^<1, 2)>。今回は新しいレジン前装システムによる金属とレジンとの接着強度について, 種々の試験法を用いてその接着強度を測定し, またサーマルサイクル試験による接着強度の減少傾向について実験を行い, 接着界面の観察を行った結果, 従来の接着システムより良好な結果が得られ, 剪断試験によるNi-Cr合金とセボンドMKVの接着強度は16.4Mpa, Ag-Pd合金とは13.2Mpaの接着強度が得られた。