著者
松本 紘 BOUGERET Jea ANDERSON Rog 小嶋 浩嗣 GURNETT Dona 村田 健史 笠原 禎也 八木谷 聡 臼井 英之 大村 善治 岡田 敏美 筒井 稔 橋本 弘蔵 長野 勇 木村 磐根 BOUGRET Jean-Louis ANDERSON Roger r. GURNETT D.A. BOUGERET J.L ANDERSON R.R
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

平成7年度には、GEOTAIL衛星は、地球から30Re付近の近地球軌道にあり、WIND衛星も主に、昼間側の太陽風の定常観測状態にあった。一方、同年度8月には、ロシアの衛星INTERBALLが、3月には、米国の衛星POLARが打ち上げられ、ISTP衛星による磁気圏の総合観測体制がほぼ整ったといえる。これらの衛星のうち、INTERBALL、POLAR衛星は、打ち上げ後、まもないということで、具体的な共同観測については、来年度に行われる予定であり、本年度は、主に、WIND衛星との共同観測を昨年度までのAKEBONO、Freja,ULYSSES衛星との共同観測に加えて重点的に行った。以下に、交付申請書の調査研究実施計画の項目に従って研究成果を列挙する。1.まず、惑星間衝撃波の観測でGEOTAILとWIND衛星で同時に観測を行った例において、WIND衛星で観測された磁場やプラズマの変化とそのGEOTAILでのある時間遅れでの観測、そしてそれに対応するプラズマ波動の強度の変化について解析を行った。その中には、衝撃波の到来とともにGEOTAILがバウショックを何度もよぎる現象がみられるものがあり、惑星間衝撃波の影響によりバウショックの位置が変化している様子を観測することができた。2.磁気圏昼間側のショック領域全面で発生しているといわれている2fpエミッションの観測をWIND、GEOTAIL両衛星を用いて行い、その発生時間や周波数変化の時間差から、その発生領域がやはりショック全面にあることが確認された。現在その位置的な偏りについても、より多くのデータを集めて解析を行っている。3.GEOTAILによって磁気圏内部で観測された「振幅変調をうけた電子プラズマ波」と同様な波形がWIND衛星によって太陽風中でも観測されていることがわかった。GEOTAILでの観測では、その波動の伝搬方向は外部磁場に対して平行、垂直の両者があることがわかっていたが、現在までのところWINDの方では平行伝搬のみがみつかっている。4.POLAR衛星の打ち上げに伴う共同観測体制を整えるための情報交換をアイオワ大学と行っている。5.POLAR衛星の打ち上げが遅れて本年度の3月になったため、具体的な共同観測は来年に執り行われることになる。6.本研究課題に関連して投稿された論文リストは、本報告書の研究発表欄に列挙する。以上が、交付申請書に書かれていた計画に対応する報告であるが、上述の他に、以下の項目についても共同研究を行った。1.極域で観測されるイオンサイクロトロン波とイオンコニックス分布との相関をAKEBONO衛星とFreja衛星の共同観測で明らかにした。2.極域で観測されるAKRの観測をGEOTAIL、WIND衛星で共同して行い、その観測が衛星の位置によってどのように変化してみられるかの評価をを行い、AKRの伝搬特性についての解析をおこなっている。3.太陽バースト伝搬をGEOTAIL、WIND衛星で同時に観測し、その強度を比較することにより、両者の受信機の較正を行った。
著者
長野 勇 木村 磐根 岡田 敏美 山本 正幸 橋本 弘蔵 鶴田 浩一郎 川口 正芳 杉森 明志
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.77-91, 1991-03

EXOS-D衛星は1989年2月21日に打ち上げられ, その後伸展物の展開, 高圧電源の投入を経て, 観測態勢に入った。VLF装置によるプラズマ波動の観測は, 一部他の搭載機器との電磁干渉が見られるが, 概ね良質のデータが取得されており, PFX装置で観測されたオメガ信号及びホイスラ空電のk及びPoynting vectorの解析に成功している。また, WB受信機やMCA装置により, オーロラに関連したHissやfunnel typeのエミションのスペクトラムが観測されている。この様に, 概ね良質な波動データを取得できたのは, 次のようなEMI対策によるところが大きい。すなわち第1次噛み合わせにおいて, 全てのサブシステムを衛星に組み込んだ後に各サブシステムからの放射磁界雑音特性を測定し(システム全体により構成されるループからの放射も含む), その雑音強度がVLF班の測定対象としている波動のレベル(磁界センサーが検出できる最小レベルを基準にすることが望ましいが)を越えている場合, そのサブシステムについてEMI対策をお願いした。改修後, 単体によるEMI測定を行なった。更に, 第2次噛み合わせにおいて, 組み上げ後再度EMIテストを行なった。このようにして, 各サブシステムのPIのご協力により, 放射磁界干渉雑音強度を減少させることが出来た。しかし, 一部の搭載機器においては, その改修によるシステム全体に与える影響を避けるため, そして改修にかかる時間的制約のもとで, 干渉を減らす為の装置の改修を諦めざるを得なかった。本報告では, EXOS-Dの干渉試験を通して得られたいくつかのEMI対策方法や資料について述べる。また, 打ち上げ後の軌道上におけるVLF装置と他サブシステムとの干渉結果についても述べる。そして, これらの経験を通して作成された1992年打ち上げ予定の科学衛星(GEOTAIL)に於けるEMC規制値についても触れる。