- 著者
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橋本 眞明
- 出版者
- 旭川医科大学
- 雑誌
- 萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2006
旭川市旭山動物園内屋外非展示エリアにおけるエゾタヌキのテレメトリーでは、冬季2〜3ケ月の絶食中でも体温の最大低下は2℃を超えず、巣篭もりも1日を超えるもが無かった。3月の再給餌までに体重はほぼ半減し、血中脂肪、総タンパク質量、尿素窒素など栄養状態の指標物質に減少が認められた以外には、現状では顕著な変化が捉えられていない。2007年8月末より同園第2子ども牧場建物内にて研究の展示をしている。内容は、冬眠とエゾタヌキの研究を概説したパネルと、テレメトリー送信機を腹腔内に留置したシリアン・ハムスターを冬眠に導入し、低温飼育装置内で冬眠を維持しつつ。その様子と共に体温、心電図のリアルタイム記録をコンピューターディスプレイにより展示した。展示を見た来園者にアンケートを依頼し、これまでに127名からの回答が得られている。主な質問項目の概要は1)内容は興味深かったか、2)生体の内部機構に興味がわいたか。3)展示を持続すべきか、とし、5段階評価(5が最大の同意を表す)を依頼した。来園者数に対し回答者数が少ないのは、同建物内の展示時間が1日1時間であることや、そもそも当施設に立ち寄る来園者が少なく、さらにアンケート回答にまで至る来園者が少ないためと思われる。内訳は小学生21、中学生6、高校生9、大学・専門学校生2、社会人38、学齢前5名(親の代筆)、年齢不詳46であった。年代別では10才未満13、10代35、20代20、30代16、40代5、50代4、60代0、70才以上1、年代不詳33であった。回答数が不十分な年代もあるため、全平均で見ると、それぞれの評点は質問1)4.3、2)4.0、3)4.5。概ね興味深い展示と受け取られ、体内の生理機構に対する興味も触発され、展示を発展的に継続してほしいとの結果であった。展示の表現法には工夫が必要との意見も多く、今後の課題も明らかになった。