著者
藤井 輝久 高田 昇 日笠 聡 酒井 道生 竹谷 英之 櫻井 嘉彦 花房 秀次 小阪 嘉之 天野 景裕 嶋 緑倫 吉岡 章
出版者
The Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis
雑誌
日本血栓止血学会誌 = The Journal of Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.446-453, 2006-08-01
被引用文献数
1

8施設の血友病患者の入院医療コストを集計し, その特徴と診断群分類(DPC)点数表の導入に対する問題点を考察した. 2002年4月から2004年3月までの8施設における患者の各入院に対し, 血友病の種類, 体重, インヒビターの有無, 手術の有無, 入院日数, 請求点数などを集計した. さらにそれらのデータからそれぞれの因子により請求点数を解析し, どの因子が請求点数に関与しているか統計学的検定を行った. 入院日数, 請求点数は施設間にばらつきがみられ, 施設別1日あたりの平均医療コストは最少が124,110円, 最大が222,080円であった. 体重別では25kg未満127,280円, 25-50kg 210,720円, 50-75kg 280,861円, 75kg以上526,958円で有意差がみられた. インヒビターの有無(524,416円, 147,534円)でも有意差がみられた. 2004年度の血友病類縁疾患のDPC導入案と比較すると, 全施設で病院側の赤字になることが分かった. 以上より, 血友病患者の入院医療コストは患者の体重や状態により多種多様で, 安易にDPCを導入することは問題と思われた.