著者
藤井 輝久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.11, pp.2762-2766, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
14

HIVの感染経路として,血液,精液・腟分泌液(性行為による感染),母子感染,の3つが挙げられる.感染が成立するために重要な因子の一つは,血液・体液中のウイルス量であり,感染者の血液・精液あるいは母乳中のウイルス量を抗HIV療法などで0にすることができたら,次の感染は成立しない.今後HIV感染症を診る医療者はただ診療するだけではなく,感染経路を正しく理解した上で,目の前の患者に対し二次感染の予防のために積極的に介入する必要がある.
著者
羽田 詩子 山村 理 川内 大輔 藤井 輝久
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 = The journal of the Japan Prosthodontic Society (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.16-25, 2006-01-10
参考文献数
32
被引用文献数
2 2

目印: 歯科臨床において審美性と機能の調和が求められ, オールセラミッククラウンによる歯冠修復が普及している. 修復物の製作において, 天然歯の形態と色調の再現が重要である. しかし, 透明性が高いコーピング材料では, 支台歯の色調がコーピングの色調に影響を与える. そこで, 3種類のオールセラミック材料, Empress, Empress2 (IVOCLAR VIVADENT), Procera AllCeram (Nobel Biocare) について, 支台歯の色調がコーピングの色調に与える影響を評価した.<BR>方法: 上顎左側中切歯にEmpress (TC1), Empress2 (100), Procera AllCeram (ホワイティシュ) のコーピングを厚さ0.5mmに製作した. 支台歯はIPS Empress System (IVOCLAR VIVADENT) のダイマテリアル6種 (ST1, ST2, ST3, ST5, ST8, ST9), 金銀パラジウム合金, 金合金, 実験的黒体を用いて製作した. 各支台歯に3種類のコーピングを装着し, 歯冠頬側中央部を高速分光光度計を用いて測色し, L*a*b*表色系にて比較検討した.<BR>結果: 彩度の高いほうから, Procera, Empress2, Empress, 明度の高いほうからEmpress2, Procera, Empressの順であった. Dryの条件 (支台歯とコーピングを乾燥し装着した条件) あるいはWetの条件 (支台歯とコーピングの間に水を介在させ装着した条件) 下で測色した場合を比較すると, コーピングの色調は, 特に彩度に影響を及ぼした. Wetの条件で測定したST1を除く全ての条件について, 支台歯色との色差はEmpress2, Procera, Empressの順に小さくなることがわかった.<BR>結論: 二支台歯の色調を反映する順序はEmpress, Procera, Empress2であった. 臨床および技工操作においてはWetな条件で色調を観察および測定することが望まれる.
著者
羽田 詩子 山村 理 竜門 幸司 正田 光典 羽柴 元裕 長尾 一郎 花井 博祥 内田 泰宏 三村 真一 藤井 輝久
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.7-12, 2004-06-20
参考文献数
23

歯科治療において最大開口位を患者に取らせることは必要不可欠なことではあるが,その状態を長時間持続することにより何らかのトラブルが生じることが予測される.補綴臨床では,支台歯形成や印象採得時等に患者に最大開口位を強いることが多いが,その直後に咬頭嵌合位に変化が生じたり,筋の疲労,不快感,顎関節の痛み,開口障害を引き起こすこともある.このような状態のまま下顎運動を行わせた場合,咬合採得時に悪影響が現れると推測される.そこで,今回は発音時の下顎位をBioPAK Systemによって計測することにより最大開口前と最大開口後の違いを観察した.先行母音または後続母音に[a]を含む被験語のときに差が大きい傾向が認められ,最大開口後の開口量は全体的に増加する傾向が認められた.最大開口後の影響は特に左右的開口量に認められた.
著者
藤井 輝久 高田 昇 日笠 聡 酒井 道生 竹谷 英之 櫻井 嘉彦 花房 秀次 小阪 嘉之 天野 景裕 嶋 緑倫 吉岡 章
出版者
The Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis
雑誌
日本血栓止血学会誌 = The Journal of Japanese Society on Thrombosis and Hemostasis (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.446-453, 2006-08-01
被引用文献数
1

8施設の血友病患者の入院医療コストを集計し, その特徴と診断群分類(DPC)点数表の導入に対する問題点を考察した. 2002年4月から2004年3月までの8施設における患者の各入院に対し, 血友病の種類, 体重, インヒビターの有無, 手術の有無, 入院日数, 請求点数などを集計した. さらにそれらのデータからそれぞれの因子により請求点数を解析し, どの因子が請求点数に関与しているか統計学的検定を行った. 入院日数, 請求点数は施設間にばらつきがみられ, 施設別1日あたりの平均医療コストは最少が124,110円, 最大が222,080円であった. 体重別では25kg未満127,280円, 25-50kg 210,720円, 50-75kg 280,861円, 75kg以上526,958円で有意差がみられた. インヒビターの有無(524,416円, 147,534円)でも有意差がみられた. 2004年度の血友病類縁疾患のDPC導入案と比較すると, 全施設で病院側の赤字になることが分かった. 以上より, 血友病患者の入院医療コストは患者の体重や状態により多種多様で, 安易にDPCを導入することは問題と思われた.