著者
稲富 信博 新田 勝之 櫻井 祐一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.131, no.2, pp.149-156, 2008 (Released:2008-02-14)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

静注用胃酸分泌抑制薬ランソプラゾール(タケプロン®静注用30 mg)は「経口投与不可能な出血を伴う胃潰瘍,十二指腸潰瘍,急性ストレス潰瘍および急性胃粘膜病変」に対する治療薬である.ランソプラゾールは静脈内投与後,胃酸生成細胞である壁細胞に移行して活性体に変換され,酸分泌の最終段階であるH+,K+-ATPaseを強く抑制して胃酸分泌を抑制する.ランソプラゾールはラットにおける基礎酸分泌および各種刺激酸分泌を抑制し,イヌにおける刺激酸分泌も抑制した.ランソプラゾールはラットにおける胃出血モデルに対して強い抑制作用を示し,胃粘膜損傷形成も抑制した.胃出血抑制作用および胃粘膜損傷形成抑制作用はいずれもランソプラゾールの胃酸分泌抑制作用に基づくと考えられ,特に胃出血抑制作用は胃内pHを上昇させることによる血液凝固能および血小板凝集能の改善,並びにペプシン活性を抑制して血液凝固塊の溶解を抑制した結果と考えられた.ランソプラゾール静注剤の臨床試験では,健康成人男子を対象とした臨床薬理試験が実施され,ランソプラゾールを1回30 mg 1日2回投与することで,臨床的に有意な酸分泌抑制効果を示すと考えられた.さらに,経口投与が困難な上部消化管出血患者を対象とした臨床試験も実施され,ランソプラゾール注射剤の止血効果は,ヒスタミンH2受容体拮抗薬である塩酸ロキサチジンアセタート注射剤と比較して臨床的に非劣性が検証された.また,因果関係が否定できなかった有害事象において,自他覚的随伴症状および臨床検査値の異常変動のいずれにおいても特に頻度の高い項目はみられず,塩酸ロキサチジンアセタート注射剤と比較しても発現頻度は同様の値であり,両薬剤群間に差はみられなかった.以上の基礎および臨床試験成績より,ランソプラゾールはH+,K+-ATPase阻害という作用機序に基づいて明確な作用を示し,安全性も高いことから上部消化管出血治療薬として有用な薬剤になると考えられる.
著者
櫻井 祐子 横尾 真 湊 真一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

効率的な提携を形成すること(提携構造形成問題)は,人工知能やマルチエージェントシステムの研究領域において,重要な研究分野となっている.本研究課題では,多分岐ゼロサプレス型BDD~(MTZDD)を応用し,(1) あらゆる特性関数を記述可能,(2) 既存の表現法よりも指数的に簡略化可能な場合が存在,(3) コアに関する問題をMTZDDのノード数の多項式時間で求解可能,(4) 提携構造形成問題は混合整数計画法を用いることで,既存アルゴリズムよりも高速に解を求めることが求解可能といった性質を持つ簡略記述法の提案などを行った.これらの研究成果は,国際会議 PRIMA2011で優秀論文賞を受賞した.
著者
櫻井 祐子 横尾 真
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

検索エンジンでキーワード検索を行うと,検索結果と共に関連する広告が表示される.広告の掲載順位は,広告主がキーワードに対して入札を行い,その入札結果に応じて決定される.このようなオークションは,検索連動型広告オークションと呼ばれる.本論文では,検索連動型広告オークションにおいて,広告主の表示方法に関する選好を考慮し,掲載数を最適化する検索連動型広告オークションメカニズムの提案を行う.
著者
西村 直史 大田 直樹 櫻井 祐子 岩崎 敦 横尾 真
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

ある程度規模の大きい学会では,様々な制約条件や価値基準を満足する会議プログラムを手作業で作成することは困難であり,大きな労力が伴う.そのため著者らは,制約充足/最適化のテクニックを用いた会議プログラムの自動生成ツールを開発した.本論文では,開発したツールを用いて実際の2008年度人工知能学会全国大会のプログラムを作成した結果と,大会終了後に行なったツールの改良について報告する.