著者
櫻本 美輪子 江川 直人 門馬 久美子 石渡 淳一 田島 強 後藤 元 宮下 久夫 滝澤 登一郎
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.1023-1030_1, 1993-05-15 (Released:2011-05-09)
参考文献数
49

症例は49歳の女性.昭和62年,反復性耳下腺腫脹と咽頭部違和感にて当院耳鼻科を受診し,平成元年1月,舌根扁桃生検から肉芽腫が認められた.平成3年4月,持続性の下痢を主訴に当院内科を受診し,大腸内視鏡を施行したところ,回腸末端部に多発性びらん性小隆起病変を指摘され,精査のため入院した.この小腸病変はクローン病との鑑別に苦渋したが,最終的にはサルコイドーシスと診断された. 本疾患の小腸病変の報告例は稀であり,また,従来からクローン病との異同について議論されているが,まだ結論は得られていない.そこで,われわれは自験例を基に,過去に報告された腸管サルコイドーシスの特徴,及びクローン病との関係について,若干の検討を加えて報告する.
著者
櫻本 美輪子 姫野 友美 美濃口 健治 渡邉 直人 小林 秀子 小関 隆 木原 令夫 藤原 美千代
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.1123-1131, 1997-11-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
25

起立性調節障害 (以下, OD) は, 小児喘息に高率に合併することが指摘されている。我々は, 成人発症の気管支喘息 (以下喘息) 患者42例 (男性14名, 女性28名) について, ODの合併頻度及び各種パラメーターの有意差について検討した。【方法】ODの診断は, OD症状についてのアンケート調査と, 起立試験の結果を総合して行った。【結果】 (1) 対象者の64.3%にODの合併を認めた。(2) OD(+)群とOD(-)群の2群間において, 喘息の罹病期間, FEV_<1.0>, %FEV_<1.0>, 血清IgE値, 血中テオフィリン濃度, 及び喘息の重症度に有意差はなかった。(3) 同2群間において, 起立試験陽性率及びその測定値に有意差がなかった。(4) 起立試験陽性者は陰性者に比べて血中テオフィリン濃度が有意に高かった。また喘息の重症度が増すほど起立試験陽性率が高い傾向があった。【結論】成人発症の喘息患者には, ODが高頻度に合併していることが明らかとなった。従って, 喘息の診断と治療を進める際には, OD様の自覚症状についても, 検討する必要があると思われた。