著者
正木 友則
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.82, pp.33-41, 2017

<p>本稿では、多様化・高次化した説明的文章の学力や学習指導内容を学習者に獲得させる上で、授業者による「教授行為(指導)」の中でも「ゆさぶり発問」に着目し、説明的文章の学習指導の場における展開について検討した。</p><p>例えば、授業者は筆者の説明内容や論理、主張に対して学習者が「分かっているつもり(理解不足)」であることを、事前に予想できる時、もしくは、授業内で察知した時、「ゆさぶり発問」(主要発問/授業内における即時的応答)を用いて、学習者の理解不足を補うことになる。また、筆者の説明内容や論理・主張などに対する学習者の吟味・評価を促す時には、主要発問で、学習者による「限定・比較・否定」を通して、説明的文章の学力や学習指導内容の獲得につなげようとするのである。</p><p>以上のことから、説明的文章の批判的読みでは、教材(文章)を介した「学習者(読者)」と「筆者」との相互作用を機能させるために、授業者の教授行為(指導=「ゆさぶり発問」)が重要であるといえよう。</p>