著者
正木 誠子
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.1-16, 2019-06-30 (Released:2019-07-09)
参考文献数
47

本稿では,視聴者によるテレビに対するネガティブな反応全般を「テレビ批判」と定義し,その規定因を検討する。テレビ批判の規定因として「他者がテレビから影響を受ける程度の見積り」と「第三者効果」に注目し,仮説1「テレビが他者に与える影響を高く見積る傾向にある人は,テレビを批判する」,仮説2「他者への見積りが高く,さらに『自分も影響を受けない』と見積る人(=第三者効果傾向の人)は,テレビを批判する」を設定した。20~60代の男女520名を対象にオンライン調査を実施した。分析の結果,因子分析によってテレビに対する批判態度を「危険・下品描写への批判」「報道への批判」「犯罪助長・過激表現への批判」「ドラマへの批判」に分類した。さらに仮説の検証のために相関分析,重回帰分析を行った。結果,他者への見積はすべてのテレビ批判に効果が認められ,仮説1は支持することができる。一方,第三者効果は報道のみに効果が認められたが他の3つの批判との関連は確認できなかったため,仮説2は一部支持という結果になった。しかし,犯罪助長・過激表現への批判には第三者効果と逆の概念であるFirst-person effectが認められた。