著者
武井 啓一
出版者
日本味と匂学会
雑誌
日本味と匂学会誌 (ISSN:13404806)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.133-142, 2013-08

平成17年に施行された「食育基本法」によって「食育」の基本理念が定められ、法的根拠が付与された。これまで、わが国では、「食」と「健康」に関して、栄養中心のアプローチが大半だったが、今後はそれに加え、嗜好すなわち食の味わいや楽しみからのアプローチが必要であろう。子どもが食事を味わい楽しむようになるには、多種類の食品に親しむことや食への関心と味覚などの五感を使っておいしさの発見を繰り返す経験が大切である。そのためには、しっかり噛んで、おいしく、楽しく食べる食べ方を教える味覚(五感)教育が必要であると考えている。ここでは、甲府市歯科医師会が、多職種の連携・協働のもと、5歳の幼児(保育園児)とその保護者を対象にして行ってきた味覚教育の事例を紹介する。
著者
川口 陽子 大原 里子 矢沢 正人 武井 啓一 鶴本 明久 米満 正美
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.132-138, 1982 (Released:2010-10-27)
参考文献数
19
被引用文献数
12

昭和54年4月から7月の間に, 東京都中央区管内7保育園, 岩手県平泉町, 沖縄県南大東村の1~5歳の幼児1,132名の歯科検診を行った。う蝕罹患者率, 1人平均う歯数, 重度う歯所有者率, 1人平均重度う歯歯数, う歯処置率, 乳歯う蝕罹患型の割合によってこの三地域を比較検肘したところ, いずれの指標でも南大東村の幼児のう蝕擢患状況が最も悪く, 平泉町はほぼ全国平均値に近く, 中央区が一番よいという結果であった。この結果は, 最近都市部より郡部の方がう蝕は多いという報告と一致している。また, 乳歯のう蝕罹患状況が悪い地域では第1大臼歯は早期に出醸し, う蝕に罹患する率も高いことが明らかになった。乳歯う蝕蔓延の著しい地域では, 第1大臼歯の早期出銀, 早期う蝕罹患, さらに永久歯のう蝕蔓延につながることが憂慮されると考えられた。