著者
三浦 昭 武井 悠人 山口 智宏 高橋 忠輝 佐伯 孝尚 Miura Akira Takei Yuto Yamaguchi Tomohiro Takahashi Tadateru Saiki Takanao
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告: 宇宙科学情報解析論文誌: 第8号 = JAXA Research and Development Report: Journal of Space Science Informatics Japan: Volume 8 (ISSN:24332216)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-RR-18-008, pp.27-41, 2019-03-08

2014年12月に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ2」 は, 2018年の夏から小惑星リュウグウ(162173, 1999 JU3)の探査を続けている.係る探査においては, 探査前に情報が得られないような状況下で, 様々なクリテイカル運用が予定されており, 係る事前訓練や検証等が欠かせないものとなった. 同様に関連する科学者も実際の観測に先立って訓練を積む必要があった. 来たる実運用に向けて, 信頼性を上げるための一助としてハードウェアシミュレータが開発された. その構成要素の一つとして, 画像生成装置が開発され, 「はやぶさ2」搭載の様々な光学機器の模擬データを生成することとなった. 本稿においては, 光学機器模擬の概要を記すと共に, そこで使われるレイトレーシング機能について, 性能評価の概要を述べる.
著者
武井 悠人 佐伯 孝尚
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.316-322, 2021-11-05 (Released:2021-11-05)
参考文献数
4

小惑星探査機はやぶさ2は,2018年6月27日にリュウグウへ到着し,小惑星近傍フェーズへと入った.リュウグウの特性を調べるため,約1年半に渡り多様な科学観測が遂行された.また,ローバー/ランダーの展開,二度のタッチダウンによる表面/地下サンプル採取,人工クレーター生成実験など,多くの降下運用に成功した.本稿では,はやぶさ2ミッションにおける小惑星近傍フェーズの概要を,事前準備と実績に分けて紹介する.はやぶさ2の多様で複雑な小惑星近傍運用を成功させるため,往路巡航フェーズ期間を活用して事前に詳細な運用計画を検討し,多くの訓練を実施した.到着後は,明らかになるリュウグウの素性や運用の成否,探査機特性の変化へと柔軟に対応しつつ成果の最大化を図った.本稿では,小惑星近傍フェーズにおける降下運用の全体像に加え,各期間のハイライトや重要な判断の流れを報告する.